モチベアップ?キャリアデザイン研修の効果や実施手順を解説!

キャリアデザイン研修とは、社員一人ひとりが自分の経験を振り返ることで自己理解を深め、今後の職業人生を再設計するための研修を意味します。 社員のモチベーションを高めるために、キャリアデザイン研修を取り入れようと考えている企業も多いことでしょう。そこで、本記事ではキャリアデザイン研修に関するメリットや実施手順などを詳しく説明します。


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キャリアデザイン研修とは

キャリアデザイン研修とは自己に対する理解を深め、モチベーションアップや適正なアクションプランを考えるのに有効な施策です。ここでは、具体的な内容やキャリアデザイン研修が注目される背景を紹介します。

キャリアデザイン研修の内容

キャリアデザイン研修はスタッフ個人に自身の過去の経験を振り返ってもらい、自分の強みや組織での役割を再認識させ、キャリアの設計や見直しを促します。

キャリアデザイン研修により、自己診断からわかる強みや周囲からの期待、役割の理解、キャリアの棚卸しができ、スタッフの「マインド」を変えるきっかけをつくるのです。

また、キャリアデザイン研修は、若手のスタッフへ向けた研修内容だけではありません。年代やキャリアごとに合わせ、幅広い研修カリキュラムが用意されています。

キャリアデザイン研修が注目されている背景

現在、市場の先が読みづらい時代になっており、変化に柔軟に対応できる人材の必要性が高まっています。それはつまり、言われたことだけをやる人材ではなく、自分の頭で考えて自走できる人材を育成する必要があるといえるでしょう。

自分で考え自走できる人材の育成に、キャリアデザイン研修は欠かせません。また、組織にはあらゆる年齢層の社員が所属しており、年代やキャリアに応じて悩みや課題が異なります。

仕事をライフステージごとに見直し、望んだ職業人生を会社と従業員が一体となって設計できることが注目されている背景にあります。

社員にキャリアについて考えてもらう4つのポイント

ここからは、社員に将来のキャリアを考えてもらうときのポイントを4つに分けて紹介します。

これまでのキャリアを書き出して振り返る

社員に、これまでのキャリアを書き出してもらい、再確認してもらいます。キャリアは、ありのままの情報を書き出しもらうことが大事です。取り掛かる前に、注意点として、最初に伝えておきましょう。

これまでのキャリアを書き出し、過去にどんなことをやってきたか・どんな失敗をしてきたかを振り返ることで、自分では気付くことができない課題や行動のクセが明確になります。多忙な業務をこなす中では、仕事で成し遂げた成果を自分自身で振り返る時間はなかなかとれません。キャリアを書き出してもらい、過去を振り返る時間を意図的に作ることが必要です。

自分の強みやスキルが何であるかを把握する

過去の振り返りができたら、現在の自分が持っているスキルや強みを見直して、自己分析してもらいます。自分を分析していくと、より深く理解できたり、これまで見落としていたスキルの発見があったりします。

自己分析をあまりしてこなかった社員には、難しく感じられることかもしれません。そのような場合、必要に応じて外部から講師を招き、テストやフレームワークなどに取り組んでもらうのも良い方法です。

遠い将来と近い将来のビジョンを書き出す

自己分析ができたら、将来のビジョンを考えてもらい書き出します。

10年先、5年先、3年先、1年先のように長期と短期のビジョンを描いてもらいましょう。10年先を描くことが難しい場合は、3年先からでも構いません。社員自身の将来を具体的にイメージすることが重要です。

ビジョンの考え方の例は以下のとおりです。

【ビジョン例】
1年先:現在任されている業務でミスをなくす
3年先:自ら率先して担当業務を増やす
5年先:チームリーダーとしてプロジェクトを任せてもらえるようになる
10年先:課長として数十人の部下を持ち育成していく

近い将来は、自分の実務に関すること、遠い将来は他の社員との関りにフォーカスすると、自己成長につながります。前述のように、ビジョンを具体的に描くことによって、将来の自分の姿をイメージしやすくなります。

描いたビジョンを実現させる手段やプロセスを考える

最後に、自分がやるべき行動計画を立ててもらいます。思いついたことを次々と書き出すよりも、やるべき行動を短期から長期に分けて整えていくことが大切です。

また、描いたビジョンをどうやって遂行していくのかを、具体的に考えてもらいます。たとえば、「どのようなことを勉強していけば良いのか」や「仕事でどのような経験をしたほうが良いのか」などです。

そしてスタッフの行動計計画が企業にとって有益になるように進めることが大事です。

キャリアデザイン導入による3つの効果

キャリアデザイン研修を導入する主なメリットには、次の3つが挙げられます。

・自走する人材を育成できる
・離職率を抑制できる
・生産性の向上につながる

キャリアデザイン研修の導入はスタッフの能力向上はもちろん、企業自体が抱える悩みの解決も期待できます。ここでは、メリットごとの詳しい内容を紹介していきます。

1.自走できる人材を育成できる

キャリアデザイン研修はこれからのビジョンを自分で描けるような、主体的な人材を育成することが可能です。研修をきっかけとして、一人ひとりが自分で考えて判断し、行動できるようになります。

さらに、周囲が言わなくても自ら学べる人材が増え、その結果として組織の管理も容易になるでしょう。

2.離職率を抑制できる

キャリアデザイン研修の実施によって、スタッフのキャリアプランを会社側が把握できます。そのため、個人それぞれに対して適切なサポートが行えるようになるでしょう。

キャリアアップにつながるサポートは会社へのエンゲージメントを高め、その結果として離職率も抑制します。なお、スタッフが離職してしまうと悩みを抱えている方は、以下の記事で原因と対策を詳しく解説していますので、チェックしてみてください。

部下の退職理由、本当は自分のせい?信頼される上司になる3つの方法

3.生産性の向上につながる

キャリアデザイン研修では受講者自らが「キャリアプランニングシート」を設計します。キャリアプランニングシートとは、自分自身の目指すべき姿や行動計画をまとめたシートのことです。

研修で設計したキャリアプランニングシートを適宜確認することで、業務における目的意識を持ちやすくなります。また、自分の思い描くキャリアデザインが明らかになれば仕事に対するモチベーションアップにもつながり、生産性の向上も期待できるでしょう。

キャリアデザイン研修のデメリットも知っておく必要がある

企業側にもスタッフ側にもメリットが大きいキャリアデザイン研修ですが、スタッフがキャリアデザインを構築させることによる、デメリットもあります。デメリットを理解した上で、企業側でできる対策をうっておけば、より研修の効果を感じることができるでしょう。

転職のきっかけになる可能性がある

メリットの部分で、キャリアデザイン研修を受けることにより、企業側はスタッフの目指すキャリアプランを把握でき、スタッフへ適切なサポートがしやすくなるとお伝えしました。

しかし、一方でスタッフ側は、自身の目指すキャリアが現在在職している企業や仕事内容とはマッチしていないと感じる可能性もあるのです。結果的に、より自身に合った企業への転職を促してしまうことも考えられます。

そのため、企業側としてはキャリアデザイン研修を受ける前にかならず、受講するスタッフへ研修の目的とサポートする意思を伝えておき、研修後にもアフターフォローを行っておきましょう。

企業が求めるキャリアデザインを目指す可能性がある

研修の目的を明確化せず、そしてキャリアデザインの構築も企業が主導で行ってしまった場合、スタッフは企業が求めているキャリアデザインを目指してしまう可能性があります。結果、本来キャリアデザインを構築する目的とは異なり、スタッフは自身の昇給や昇進を目的としたキャリアデザインを目指してしまう恐れがあるのです。

そのため、キャリアデザインの構築は、スタッフそれぞれが行えるよう、企業側はあくまでサポートに入り、研修を実施する目的は事前に明らかにさせておくようにしましょう。

キャリアデザイン研修の実施の流れ

キャリアデザイン研修の実施の流れは、大きく次の5つに分かれます。

・組織の課題を可視化
・研修の目的を決定
・研修プログラムの検討
・効果測定の実施方法を決定
・研修の準備・実施

キャリアデザイン研修における流れを理解しておくことで、円滑な研修導入につなげられるでしょう。ここでは、それぞれの内容について詳しく解説します。

1.組織の課題を可視化

研修を実施する前に、現時点での組織における課題を明確にしなければなりません。課題が明らかになれば、その課題の解決に必要な内容を得られる研修に絞って検討できるためです。

まずは管理者や社員に対してヒアリングを行い、現場における課題の把握から始めましょう。また、現場だけでなく経営者の要望も大切です。経営者や管理者、社員それぞれの立場の意見を知ることで、研修内容が具体的に定まります。

2.研修の目的を決定

ヒアリングにより組織の課題を洗い出したうえで、課題に合わせた研修の目的を設定します。研修の目的が明確になれば、実施後の効果を検証しやすくなります。

新たな課題の発見や、研修内容のブラッシュアップにつながるのです。また、目的を言語化しておくことで、関わる全員に研修の意義が伝えやすくなります。

3.研修プログラムの検討

研修の目的に基づき、プログラムの内容を企画します。内容は主に研修の対象者やプログラム、スケジュール、講師や場所など、研修の実施に要する条件についてです。

また、講師はキャリアデザイン研修の実施経験が豊富な方に頼むことで、より高い効果を得られるでしょう。場所については基本的に会議室や研修会館などで実施されますが、現在はオンラインを選択するケースも増えています。

4.効果測定の実施方法を決定

研修による実際の成果を測るためにも、効果測定の方法をあらかじめ決めましょう。測定方法には「アンケート」と「キャリアプランニングシート」のふたつがあります。

アンケートは研修後に配布し、参加者に感想だけでなく研修を受けてみての効果や学び、研修内容の良かったポイントや改善点を回答してもらいます。

また、キャリアプランニングシートは研修中に本人に作成させ、研修後にも定期的に振り返る機会をつくり、日々の業務における研修の効果を測ることも可能です。

5.研修の準備・実施

研修のプランニングが完了した後は、研修の実施日までに準備や手配を進めます。例えば、講師の手配や会議室の予約、参加者への告知、事前課題の配布、テキストの作成、アンケートの作成といった内容です。

円滑にキャリアデザイン研修が実施できるよう、必要な手配は早めに進めることをおすすめします。

外部研修について以下の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。

外部研修って社内研修とどう違う?担当者が知っておきたいこと

キャリアデザイン研修を実施する時の注意点

キャリアデザイン研修は社員のキャリアや、それに対する行動指針が明確になる効果があります。ただし、キャリアデザイン研修を行う上で、注意すべき点が4つあります。

スタッフの目線に合わせた研修を実施する

社員が、自分にとって最適なキャリアを明確にするためには、会社都合のみで研修を行わず、社員のスキルや個性を活かした研修が大切です。キャリアデザイン研修は社員のために行われる研修であり、会社都合を優先させてしまうと、各社員に適したキャリアを見つけられないおそれがあるからです。

サポートはスタッフの状況に合わせる

各社員の抱える悩みを把握したり、部署や役職を考慮したりして、サポートします。社員自身が目標とするキャリアがわからない場合は、ヒアリングしながら一緒に考えることも大切です。

研修の効果を高めるためにアフターフォローを行う

研修後のフォローを行うことで、キャリア研修の効果を持続させることができます。たとえば、将来のキャリアを描いたものの、何をして良いかわからない社員がいれば、キャリアに近づくためにどんな方法があるかを伝えます。

キャリアに対して悩みや葛藤を抱える社員には声掛けして、再度キャリアデザイン研修を受けてもらうことも選択肢のひとつです。

まとめ

キャリアデザイン研修は生産性の向上や離職率の抑制、さらに自走できる人材が育成できるという点で企業にとって有益な研修のひとつです。

しかし、これからキャリアデザイン研修を取り入れようと考える場合、どこに研修を依頼すれば良いのかわからないケースも少なくありません。

東京・ビジネス・ラボラトリーの企業研修では心理学のメソッドを使って自己理解を深め、マインドの変化を生み出し、組織の最適化を促します。キャリアデザイン研修を実施したい方は、まず一度お問い合わせください。