CHOとは?企業の成長を支える“最高人事責任者”の役割と必要なスキル

近年、人的資本経営の重要性が高まり、企業の競争力は「人」をどう活かすかにかかっているといわれています。離職率の上昇やエンゲージメント低下に悩む企業では、経営と人事をつなぐ「CHO(最高人事責任者)」の設置が注目され始めました。今回は、CHOの役割や求められるスキル、導入のポイントを整理し、自社にとって必要かを見極めるための視点をお伝えします。


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CHOとは

CHOとは、経営層の一員として「人」に関するすべての戦略を統括する責任者を指します。従来の人事部長やCHRO(Chief Human Resources Officer)が「制度や人材管理」を中心に担当していたのに対し、CHOは「人的資本経営」を推進するため、経営理念と人材戦略を結びつけることに重点を置きます。

近年では、人的資本の情報開示やエンゲージメント向上が企業価値に直結する時代です。社員一人ひとりの能力や幸福度を最大化する取り組みが求められています。

その中で、CHOは企業文化の形成や従業員体験(EX:Employee Experience)の向上を通じて、組織全体の生産性と持続的成長を支える重要な存在といえるでしょう。

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CHOの主な役割

CHOは経営と人事の両側面を統合する要職です。ここでは、具体的な3つの主要な役割について解説します。

1.経営と人事戦略の橋渡し

CHOの最も重要な役割のひとつは、経営方針と人事戦略をつなぐ橋渡しです。企業のビジョンや中長期目標を的確に理解し、それを採用・育成・評価・配置といった各人事施策へと落とし込む力が求められます。

単なる「人材管理」ではなく、「人材を通して企業価値を高める」発想が不可欠です。例えば、事業戦略に合わせて次世代リーダーの育成や、社員のスキルを可視化して適材適所を実現するなど、経営と現場の双方に寄り添う視点が求められます。CHOが存在することで、経営目標と人事施策の一貫性が保たれ、企業全体の方向性が明確になります。

2.組織開発・企業文化の醸成

CHOは、従業員が安心して意見を交わせる環境や、挑戦を歓迎する企業文化をつくり出す役割も担います。心理的安全性の確保やエンゲージメント向上を通じて、従業員一人ひとりが自発的に組織へ貢献できる風土を整えることが重要です。

また、企業理念やミッションを現場レベルに浸透させることもCHOの重要なミッションです。定期的な1on1や社内イベントの企画、価値観を共有する研修などを通じて、組織の一体感を高めます。

こうした取り組みが、結果的に社員のモチベーション維持や離職防止につながり、強い組織文化の基盤となります。

3.ウェルビーイング・人的資本管理

CHOは、従業員の健康や働きがいなどの「ウェルビーイング」を経営課題として扱います。メンタルヘルス対策や労働環境の改善、柔軟な働き方の推進などを通じて、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できる状態を整えることが目的です。

また、人的資本経営の視点から、従業員のスキル・知識・経験を資産として捉え、定量的な管理と分析も求められます。データに基づいた人事施策を行うことで、組織全体の成長力を高め、企業価値の向上へとつなげられます。

CHOは「人の幸せ」と「企業の成果」を両立させるキーパーソンといえるでしょう。

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CHOに求められるスキル

CHOは、経営と人事をつなぐ要として、幅広い視点と実行力が求められます。ここでは、特に重要な3つのスキルについて紹介します。

1.経営視点と戦略思考

CHOには、人事を「コスト」ではなく「投資」として捉える考え方が求められます。採用や育成を企業成長の原動力と位置づけ、経営数字を理解しながら人材戦略を組み立てる力が必要です。

また、経営層と対等に議論できる戦略思考も欠かせません。人材をどう活かせば事業の方向性と一致するのかを見極め、経営課題の解決に直結する提案ができるかが重要です。CHOは、人を通じて企業価値を高める「戦略人事」の中核的存在といえます。

2.コミュニケーション・リーダーシップ

CHOは、部門を横断して組織を動かすコミュニケーション力が欠かせません。経営陣から現場まで、立場の異なる人々と信頼関係を築き、共通の方向性を描く力が求められます。

さらに、変革を推進するリーダーシップも重要です。従業員や管理職を巻き込みながら、企業理念を現場に浸透させ、組織の一体感を育てます。CHOは「変化を導く存在」として、組織文化の醸成を支える役割を担います。

3.データ分析と人的資本開示対応

CHOには、人事データを活用する分析力が求められます。離職率やエンゲージメントなどの情報を可視化し、データに基づく人事施策を進めることで、経営判断の精度を高めます。

また、人的資本の開示が進む中で、数値をもとに人材投資の成果を説明する力も必要です。分析体制を整え、社内外へ適切に情報を発信できるスキルが、信頼されるCHOの条件といえるでしょう。

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CHOを設置するメリット

CHOの設置で、経営と人事の連携が強化され、従業員の意識や行動にも良い変化が生まれます。ここでは、その代表的な2つのメリットを紹介します。

1.組織の一体感・エンゲージメント向上

CHOが中心となることで、経営理念や企業方針が現場にまで浸透し、従業員の意識が統一されやすくなります。価値観や目標を共有できる環境が整えば、従業員は自らの役割に誇りを持ち、組織への貢献意欲が高まります。

また、CHOが心理的安全性の高い職場づくりをリードすることで、意見が言いやすく、互いを尊重し合える風土が育まれます。その結果、離職率の低下やチームワークの向上にもつながり、長期的な人材定着を支える土台となるのです。

2.経営と人事の連携強化

CHOが経営層の一員として参画することで、人材戦略が経営戦略と一体化します。これにより、経営方針の変化に応じて人事施策を迅速に調整できるようになり、意思決定のスピードと柔軟性が高まります。

また、CHOは経営層と現場の双方を理解しているため、実現可能で効果的な戦略を立案可能です。採用・育成・評価といった人事施策が経営目標に直結し、企業全体がひとつの方向に向かって動けるようになる点が大きな強みです。

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CHOを設置する際のポイント

CHOを設置する際は、単に役職を置くだけでなく、運用体制を整えることが欠かせません。ここでは、その際に意識すべきポイントをまとめます。

まず、経営陣とCHOの役割分担や責任範囲の明確化が重要です。経営判断と人材戦略の境界を曖昧にせず、CHOがどの範囲まで意思決定権をもつかを定義しておく必要があります。

次に、人的資本経営の方針と整合性をとりながら、CHOのミッションを設定します。経営戦略の一部として人材をどう活かすかを明文化することで、組織全体の方向性が統一されます。

また、CHO候補を選定する際は、経営理解・価値観の共有・人材マネジメント経験の3点が重要です。社内登用・外部採用のいずれであっても、組織文化に共感できる人物が適任です。さらに、CHOを支える人事部門や現場との連携体制を整え、実行段階での協働を促す仕組みづくりも欠かせません。

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まとめ

CHOは、人的資本を軸に経営を支える要となる存在です。組織の一体感を高め、経営と人事を結びつけることで、持続的な成長を実現できます。一方で、CHOの導入は役職の新設にとどまらず、経営方針や文化にまで踏み込んだ取り組みが必要です。自社の課題に合わせて、CHOを設けるか、またはその役割を担えるリーダーを育成するかを検討すると良いでしょう。

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