部下のメンタルに対する責任は上司にある?正しい対処は?

管理職は、業務全体のさまざまな役割を担っており、なかでも部下のメンタル管理は欠かせない業務です。自分の部下がメンタル不調に悩んでいないか気になる人も多いのではないでしょうか。 部下のメンタル不調やモチベーションの低下は、上司として放っておくわけにはいきません。 しかし場合によっては、上司の対応がメンタル不調の引き金になっていることも考えられます。そこでこの記事では、部下のメンタル不調の責任や正しい対処法を解説します。


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部下のメンタル不調の責任

上司は、部下の業務面でのサポートだけでなく、メンタルケアやモチベーションを上げるためのマネジメントも欠かせません。では、部下のメンタル不調は上司に責任があるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

部下のメンタル不調の責任は上司にあるのか

上司は、部下のメンタルケアなどのマネジメントを行う責任があります。そのため、部下のメンタル不調の責任は、少なからず上司にあるといえるでしょう。

上司が責任を取るべき業務は、部下の目標設定やプロセス管理など多岐にわたります。しかし、モチベーションの管理ができていなければ、部下は業務に前向きに取り組めないはずです。

モチベーションの管理は、単にやる気をアップさせることではありません。重要なのは、モチベーションに直結するメンタルケアなのです。メンタルが不安定な状態になると、その部下が本来持っているはずの力を発揮できません。

そのため、部下のメンタルは上司が必ず管理すべき重要なポイントであり、不調を起こす原因は上司にもあると考えられます。

部下のメンタル不調は組織的な解決が求められる

部下がメンタル不調に悩む原因はさまざまです。本人の心の弱さではなく、真面目過ぎて自分を追い込んでしまう性格の問題や、キャパオーバーな業務を任される職場環境などが原因であることも少なくありません。

このように、メンタル不調は本人だけの問題ではなく、組織として対処するべき問題なのです。部下のメンタル不調の兆候にいち早く気づけると、その後の対処がしやすいといえます。

いつも部下の様子を観察していれば、メンタル不調を感じている部下の遅刻や欠勤、コミュニケーションの取り方に違和感があるはずです。早期発見できるよう、上司が目をかけて部下のメンタルケアを行いましょう。まずは「部下の個人的な問題」と考えず、チーム全体の問題として受け止めることが重要です。

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部下のメンタル不調の理由とは

部下のメンタル不調は、上司の管理不足が原因であることもあります。しかし、いざ「もっと部下のメンタルと向き合おう」と思っても、それは安易なことではありません。

部下がどういったことで悩みや辛さを感じているか「メンタル不調の理由」を理解しなければ、正しい対処ができないといえるでしょう。ここからは、部下がメンタル不調に悩まされる要因を解説します。

仕事環境の問題

部下がメンタル不調を感じる要因として、職場環境の問題が挙げられます。もちろん、仕事の要領が悪い部下が、力量以上の業務を任されて重圧を感じるケースは多いでしょう。

しかし、仕事ができる有能な部下にもメンタル不調は起こりうるといえます。なんでも問題なくこなす部下に、つい仕事を与えすぎていないでしょうか。任される仕事が増える一方にもかかわらず、給料や出世といった見返りの保証がないとなると問題です。そのような環境での勤務を続けると、悩みを抱えても無理はありません。

「なんのために働いているのか」と、仕事に疑問を持ち始めることがメンタル不調へつながるのです。そのため、基準が曖昧な「やりがい」といった成果だけでなく、正しく評価される仕事の環境が大切です。

また、失敗が許されない雰囲気のチームであれば、その責任の重さからメンタル不調を感じることもあるでしょう。「失敗したらどう思われるだろうか」と同僚の目を気にするほど、本来のパフォーマンスが発揮できない人もいるはずです。チーム内での環境構成が、個々のメンタルに大きな影響を与えているのかもしれません。

上司との関係

部下が悩みを抱える要因として、上司との関係も見逃せません。うまくコミュニケーションが取れていなければ、メンタル不調の要因になりうるでしょう。それどころか、その不調に気付かず悪化させてしまう恐れがあります。

無意識のうちに圧をかけていたり、曖昧な指示で迷わせたりしていると感じたことはないでしょうか。抱えている業務や部下が多いほど、個々に割く時間が減るのは仕方のないことです。

しかし、そこで高圧的な態度で言葉少ない指示を出していては、部下を追い詰める結果につながります。このように、部下は上司との関係に不安やストレスを感じ、メンタル不調を引き起こすのです。

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部下のメンタル不調を解決するには

部下のメンタル不調に気付いたときは、早期対応が求められます。部下の心の変化に気付くのが遅れると、状況が悪化して体調不良や離職につながるケースもあるでしょう。部下のメンタル不調は、早期に以下の対応を行いましょう。

メンタル不調の部下への対応

部下のメンタル不調のサインを感じたら、まずは話を聞く時間を確保しましょう。メンタル不調に悩まされる部下は、非常に不安定な精神状態に陥っている可能性があります。

ここで見られる、部下のメンタルを追い詰めるダメな上司の特徴は「見て見ぬふり」です。メンタル不調のサインを出している部下を見つけたら、どのような仕事も後回しにして向き合うべきといえるでしょう。

しかし、ただ話を聞くだけでは部下の本音に気付けない可能性があります。相手の気持ちに親身になるためには、傾聴の姿勢が大切です。また、話のなかで出た問題に対し、改善できるところは速やかに改善を試みましょう。必要であれば、仕事をしばらく休ませたり、病院の受診を勧めたりすることも大切です。そのほか、以下のようなポイントを意識しながら対応しましょう。

・部下からの話はプライバシーを守る
・部下の話のペースに合わせる
・すぐに解決策を提示しない
・業務よりも部下のメンタルが大切であることを伝える
・メンタルケアの専門家につなげるようにしておく

ここで上司が自身の評価やプライドを意識して、部下のメンタル不調の解決を急いでしまっては同じことが繰り返されるかもしれません。部下個人の問題ではなく、職場全体の問題として捉えましょう。

専門家へ相談する

部下のメンタル不調をきっかけに「上司として力量が足りない」「メンタルケアができなかったのは私の責任」と自信をなくす人も少なくないでしょう。部下のメンタル不調は上司にも責任があるとはいえ、ひとりで抱え込む必要はありません。

日々の業務に加えて、メンタル不調を訴える部下への対応をこなすのは安易ではありません。メンタルケアはセンシティブな内容のため、ひとりで抱え込まず専門家に相談した方が良いでしょう。

東京・ビジネス・ラボラトリー(LTBL)では、 ビジネスシーンでのメンタルサポートを行っています。基本的なストレスチェックから企業研修やセミナー、メンタル顧問などさまざまなサポートが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ

部下の仕事環境の整備は上司の役割であるため、チーム内のメンタルサポートも欠かせない業務です。そのため、部下のメンタル不調は、少なからず上司にも責任があるといえます。

部下のメンタル不調を放置していると、鬱病や離職など問題が大きくなることが予想できます。部下からメンタル不調のサインを感じ取ったら、いち早く対応しましょう。

しかし、すべての責任を抱え込む必要はありません。考え込みすぎると、部下と同じようにメンタル不調に巻き込まれてしまう可能性があります。ひとりで悩まず、まずは専門家への相談を行いましょう。