人が定着しない職場の特徴とは|どのような対策が必要?

人材確保が難しい今の時代、せっかく新しく人を採用しても定着せずに頭を悩ませている経営者も多いのではないでしょうか。人の入れ替わりが激しいと採用コストがかさむだけでなく、企業活動にも支障が出てきます。 人が定着しない職場にはどのような特徴があり、定着率を上げるためにどのような対策をすれば良いのかについて解説します。


この記事は約7分で読み終わります。

人が定着しない職場の特徴

社員の定着率が悪い会社には、何かしらの理由があります。当てはまる特徴がないかチェックしてみましょう。

採用時のミスマッチ

入社してから数年の間に退職する社員が多いときは、求人情報を見て興味を持つ応募者と会社のニーズが一致していないのかもしれません。社員は入社してから、こんなはずではなかったと思い、退職を考え出します。

経営者や上司から見て、新しく入ってきた社員が求めていた人材と違うと感じることが多いのであれば、採用時のミスマッチの可能性はより高まります。

求人情報の内容が古かったり、会社のホームページに社風や職場の雰囲気を掲載していなかったりすると、応募者が会社に抱くイメージや期待などの理想と現実にギャップが生じます。

また、面接回数が少なかったり、面接中に面接官のほうが話す時間が長くなったりすると、応募者のスキルや経験、人間性を見極めることができず、満足のいく選考ができません。

求人情報や面接を通して、最新かつ正確な勤務条件や社風について応募者に伝えましょう。なかには応募者にとって悪い情報もあるかもしれません。しかし、入社すれば分かることなので、悪条件もあらかじめ伝えておくことで採用時のミスマッチは防げます。

労働条件が良くない

労働条件が悪ければ、人は辞めていきます。特に、仕事のできる社員がすぐに退職してしまい、転職が難しいような社員ばかりが残っている場合は、労働条件を見直す必要があるでしょう。

確認すべき労働条件には、2種類あります。ひとつは過酷な労働条件、もうひとつは給与や福利厚生など経済的な条件です。

社員一人ひとりの負担が大きく、労働時間が長い、休日が少ない、有給休暇が取りにくい、休日出勤が多い、サービス残業があるなど、労働の負荷が大きいと、満足のいくワークライフバランスを取ることができません。

また仕事はそれほど忙しくなくても、同業他社と比べて給与水準が低ければ、同じ業務内容で収入アップを見込める転職を考えるようになるでしょう。賞与の支給金額、昇給、労働保険や社会保険の加入状況などに問題がないか確認してみましょう。

人間関係が良くない

職場の人間関の良し悪しは、人材が会社に定着するうえで重要なポイントです。

会社の創業年数のわりに勤続年数が長い社員が少ない、ある時期から入ってすぐに辞める人が増えた、退社する社員の部署や部門に偏りがある、決まった上司のもとで働く社員に辞める人が多い場合は、人間関係や職場の雰囲気に問題がないか調べてみる必要があります。

パワハラや職場内のいじめなど明らかに問題があるケースだけでなく、勤続年数の長い社員が新しく入った社員に対して冷たかったり、仕事を押し付けたりすることで、新人がうんざりする場合もあります。

上司や先輩社員が勤務時間や飲み会などで性的な話題を出して、セクハラになっていないかも注意しましょう。

ビジョンがもてない

このまま働いていても将来性を感じなければ、会社で働き続けるモチベーションを保てずに辞めていきます。

会社の雰囲気や尊敬できる先輩・上司の不在、ワークライフバランスの取りづらさ、給与の低さは、すべて将来のビジョンを持てない理由となります。

人が定着しない職場は、数年後、数十年後の理想となる先輩社員がいないため、どんどん人や辞めてしまうという悪循環になるのです。

提案が受け入れられない

会社に貢献しようと良い提案を考えても、聞く耳すら持ってもらえないと、やりがいを感じることができず辞めてしまいます。

有能で自発的な社員ほど、自分のなりの考えを持つものです。会社のためになると考え、コスパが良くなる提案や新規マーケットの企画など、筋を通して提案しても、検討すらされずに却下され続けると、ここにいても何のやりがいを持つこともできないと考え、自分の能力が発揮できそうな職場へと移ってしまいます。

企業風土に問題あり

労働条件や人間関係の悪さにも通じますが、企業風土に問題があると新しく入った社員は長続きしません。

例えば、上司や先輩のいうことは絶対で、新入社員が意見できない雰囲気はないでしょうか。自分の仕事が終わっても、上司が帰るまでは帰ってはいけないという暗黙の決まりがある職場もあります。

また、勤務時間の後や休日に、無給での勉強会や研修会に参加させることも問題です。

そのほかにも、結婚や出産を機に辞める女性が多い場合は、子育てをしながら働ける環境になっていない可能性があります。休業条件が保証されているか、子育てをしている人に対するほかの社員の理解に問題はないか確認しましょう。

若い人が社風になじまず辞めていく大きな原因として、会社の古い体質があります。ひと昔前であれば普通だったことが、現代では問題になることも少なくありません。

目次へ

人が定着しやすい職場になるために行うべきこと

魅力的な職場であれば、社員は自然と長く働き続けます。定着率が低い会社の特徴を踏まえて、対策をとっていきましょう。

労働環境を見直す

労働環境が過酷であれば離職率は上がります。まずは、適正な労働環境を整えることで定着率は改善します。残業や休日出勤などの長時間労働に対して肯定的なイメージがあるのであれば、考え方を見直しましょう。

面接の際に、応募者から月の残業時間を聞かれることもあるでしょう。その場合は、ごまかしたり少なめにいったりすることなく実情を伝えましょう。

質問をするということは、その応募者にとって残業時間は会社を選ぶうえでのポイントとなっています。入社後に、想定していた条件より悪かったと退職のきっかけになりかねません。

また、本業以外の業務負担が大きすぎると社員にとってはストレスになり、モチベーション低下にもつながります。必要であれば、その業務を本業とする新しい社員の採用やアウトソーシングの利用の検討もしましょう。

風通しを良くする

上司や特定の社員の顔色をうかがいながら仕事をするのは、精神的につらいものです。会社の風通しを良くして、職場の雰囲気を改善しましょう。

社員同士の信頼関係が築かれている会社であれば、意見も出しやすく業績アップにもつながります。まずは挨拶などを含めたコミュニケーションの機会を増やして、お互いに話しやすい雰囲気をつくることが大切です。

円滑なコミュニケーションをすることで、社員の不満を吸い上げることができ、自社の改善点も見えてきます。定期的な面談を実施する際も、意見を出しやすい雰囲気づくりが大切です。

評価制度の見直し

評価制度を整備して昇給やボーナスへ反映すれば、社員は自身が正当に評価されていると実感できます。適正な評価は仕事へのやる気につながり、働き続けたい動機になります。評価制度をまだ導入していない会社は、1から作り上げていきましょう。

すでに評価制度を実施しているけれど社員のモチベーションアップにつながっていないのであれば、制度に問題があるか、制度内容が社員にしっかりと伝わっていない可能性があります。社員の努力や成果が偏りなく評価される制度になっているかチェックしましょう。

働き方を柔軟にする

出産を考えている女性、シニア世代、介護をしている人など、社員にはさまざまな状況の中で働いています。すべての社員が安心して働ける環境を整備することで、定着率はアップします。

時短制度やフレックスタイム制、リモートワークなどを取り入れることで、これまではプライベートの状況が変化したことで辞めるしかなかった優秀な人材を手放さずにすみます。

日本の労働人口が減少し続ける時代に、会社の業務に精通している社員が辞めずに働き続けてくれれば採用コストを抑えられます。

出産・育児や介護と一言でいっても事情はそれぞれで異なりますし、年数が経過するうちに状況も変化します。面談などで十分なヒアリングを行い、サポート体制を整えておくことが重要です。

東京・ビジネス・ラボラトリーでは企業研修を行っており、心理学のメソッドを利用して社員のコミュニケーション能力や自己実現の課題にも対応しています。

人によって環境は変わります。社員が長く働き続けたいと思える職場づくりにお悩みでしたら、まずはお気軽にご相談ください。

目次へ

まとめ

社員が入っても、すぐに辞めていく職場には理由があります。給与や休暇などの労働条件、人間関係などの会社の雰囲気、採用時のミスマッチなど、会社によって原因はさまざまですが、対策をとることで定着率が上げることは可能です。

社員がいきいきと働いている職場は、コミュニケーションも活発で風通しの良い風土です。働きやすい職場づくりをしていきましょう。