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管理職に求められる3つの能力
管理職に必要な能力・スキルについて考えるときに役立つのが、1950年代にアメリカで提唱されたフレームワーク「カッツモデル」です。カッツモデルでは、組織の管理者には以下の3つの能力が必要だとされています。
・コンセプチュアルスキル
・ヒューマンスキル
・テクニカルスキル
経営者・中間管理職など管理者の階層によって、上記のスキルの比重が異なるという考え方です。
似たようなワークフレームに「ドラッカーモデル」がありますが、これはカッツモデルをベースに階層や比重を変更したものであり、3つの能力が必要とされる点は変わりません。
まずは、多くの企業が取り入れているカッツモデルを参考に、中間管理職(ミドルマネジメント)に求められる能力を紹介します。
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を捉えて意思決定や課題解決に活かす、「概念化能力」ともいえる能力です。管理職は企業が目指す方向性や戦略を理解し、その内容を噛み砕いてチーム内に浸透させ、メンバーを同じ方向に導く役割があります。
この役割を果たすためには、経営側の視点や組織全体を把握する広い視野、経営陣が求めるものを分析して具体的な数字に落とし込むスキルなどが必要です。
また、単に経営者や組織の考えを伝えるだけでなく、実現のための行動を促して成果を上げ、効果を検証し、課題を洗い出して改善する作業も求められます。
つまり、コンセプチュアルスキルには、論理的思考や批判的思考、柔軟な発想や俯瞰力などさまざまな要素が含まれているのです。
ヒューマンスキル
中間管理職は、ただ指示された仕事をこなすのではなく、円滑に業務が進むように立ち回る必要があります。部下と連携するのはもちろん、ときには上層部や取引先と交渉して全体のバランスを取らなくてはなりません。
このときに役立つのがヒューマンスキルです。ヒューマンスキルは3つの能力のなかで、中間管理職にもっとも必要な能力だといっても過言ではありません。ヒューマンスキルは、主に以下の3つの能力で構成されます。
・コミュニケーション能力
・プレゼン能力
・交渉・調整能力
それぞれの能力について、下記にて詳しく解説します。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、良好な人間関係を築き、業務を円滑に遂行するのに欠かせない能力です。部下と話して能力を把握したり、不安や悩みを聞き出し解決したりするのにも役立ちます。
社内の人間関係だけでなく、社外の人との付き合いにおいてもコミュニケーション能力は重要です。関係各所と良い関係が築けていれば、「〇〇さんがいるから」と仕事を優先的に回してもらえたり、良い情報を教えてもらえたりすることもあり成果が出やすくなります。
プレゼン能力(説得力)
社内で企画を通したり競合他社と競り合って契約を勝ち取ったり、管理職になると何かと交渉する機会が多くなります。
また、部下が自分自身の力で契約が取れるように、他者のプレゼンを正しく評価し指導する能力も必要です。
そのため、管理職には自社の商品やサービスについて熟知し、自ら魅力的で質の高いプレゼンをする能力も求められます。
交渉力・調整能力
管理職は上層部と部下、自部署と他部署、自社と取引先など企業を取り巻くさまざまな関係の間に立つ調整役です。
また、部下が失敗したときには自身が責任者として謝罪し、次の仕事につなげる必要があるため、交渉・調整能力も欠かせません。
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、これまでに培ってきた技術的なスキルです。現場でどのような仕事をしているのかが把握できていない管理者では、適切な指導や人員配置ができません。テクニカルスキルなくして、マネジメント能力は発揮できないため、管理するチームの業務について理解する必要があります。
そして、管理職の場合はチーム全体の目標設定や業務の進捗管理、状況・課題の把握から、改善のためのアイデア出しも仕事になります。
また、職場環境の改善も管理職の仕事です。部下も自分自身も残業や休日出勤をしなくても良いように余裕をもったスケジュールの作成や、お互いがフォロー可能な体制を確立していくために、部下の指導・育成なども行わなくてはなりません。指導・育成にテクニカルスキルは最も必要となります。
管理職に求められるスキルを高める方法
コンセプチュアルスキル・ヒューマンスキル・テクニカルスキルの3つは、どれも管理職にとって重要な能力であり、どれが欠けても業務がスムーズに進まなくなります。
中間管理職の場合は特にヒューマンスキルを中心に、3つの能力をバランス良く身に付けることが重要です。ここでは、管理職に必要な能力を高める方法を紹介します。
管理職としての自覚をもつ
管理職は、指示された業務だけをこなしていれば良い立場ではありません。一般社員とは異なる立場であることを自覚し、現場の業務を理解しつつ経営側の視点をもって行動することが大切です。
とはいえ、いきなり意識を変えるのは難しいため、社内のほかの管理職との意見交換の場を持つようにしましょう。上司やロールモデルとなる人物からフィードバックを求めたり、相談したりしてみるのもおすすめです。
課題を早期に解決する
チーム内の課題を放置すると問題は大きくなり、マネジメントがうまくいかなくなったり重大なトラブルが発生したりするおそれがあります。
チーム内の課題を洗い出して対策方法を考え、早期に解決が重要です。自分1人ですべての課題を見つけ出すのは難しいため、定期的に部下の意見をヒアリングする場を設け、問題点や悩みがないかを確認してみましょう。
部下と積極的にコミュニケーションをとる
ヒューマンスキルを高めるには、とにかく実践あるのみです。部下と積極的にコミュニケーションを取り、良好な関係を築いていきましょう。
難しく考える必要はありません。例えば、毎日自分から挨拶するだけでも、部下が話しかけやすくなるものです。
定期的な面談や、ランチに誘うなどして、悩み事を聞くのも良いでしょう。ただし、踏み込みすぎるとハラスメントになるリスクがあります。部下のほうから悩みを話してくれるまで待つ姿勢が大切です。
また、自分語りをしないようにすることも重要です。上司が自分の話をしてばかりでは、「こちらの話を聞いてくれない」と不満に思い、部下のほうから話をする機会が失われてしまいます。
自分の経験を踏まえた意見を述べるべき場面もありますが、基本は聞き役に回るようにしましょう。
こうして部下と良好な関係を築き、風通しの良い環境になるとモチベーションがアップするため業務がスムーズに進むようになります。きちんとフォローしてくれる上司であると信頼を得ていれば、トラブルが起きたときにも、部下のほうからきちんと報告してくるようになるでしょう。
そうすれば、部下が「怒られるかも」とおそれを感じてトラブルを隠した結果、より大きな問題に発展するような事態も防ぎやすくなります。
効率良くスキルを高めるなら外部研修がおすすめ
管理職に必要な3つの能力は、同じ管理職同士で意見交換したり部下とのコミュニケーションを実践したりしていれば、ある程度のレベルまで高められます。
しかし、日々の業務をこなしながら管理職同士のコミュニティを形成し、学んだことを実践していくのは大変です。効率的にスキルを高めたいなら、社外研修を受けてみてはいかがでしょうか。
東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)なら、心理学のメソッドを取り入れた専門的な研修で、管理職に必要なスキルを効率的に身に付けられます。新入社員から経営者層まで、階層に合わせた研修の実施も可能です。
創業当初から企業運営をサポートしてきた経験をもとに最適なプランをご提案しますので、どうぞお気軽にご相談ください。管理職の研修については、下記の記事にて詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
「管理職研修の内容は?主な4つの種類と実施する際のポイントを解説」
まとめ
企業の管理職には、コンセプチュアルスキル・ヒューマンスキル・テクニカルスキルの3つの能力が求められます。日頃からほかの管理職や上司と意見交換したり、部下とコミュニケーションを密に取ったりして、必要な能力を高めていきましょう。
管理職に必要なスキルを効率的に高めたい場合は、外部研修を活用するのもおすすめです。