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そもそもなぜ部下は仕事を辞めたいと思うのか

部下が退職を意識している際のサインに気付けず、急に退職届を突きつけられた経験はありませんか。そもそもなぜ、部下は仕事を辞めたいと考えるのでしょうか。原因を知ることができなければ、適切な対応を取れません。そこでここからは、部下が抱える悩みや退職を考える要因を解説します。
人間関係がうまくいかない
部下が退職を考える要因に、人間関係の問題があります。上司とそりが合わなかったり、職場の居心地が悪かったりすれば「ここは自分の居場所ではない」と感じることが多いようです。
人間関係がうまくいかないことに悩むのは、特に男性よりも女性が多い傾向があります。仕事でのミスを注意されたことや、上司からの心無い一言など、ちょっとしたトラブルが尾を引いて仕事を辞めたいと考える傾向があるようです。
正当に評価されていないと感じる
仕事に対する正当な評価は、仕事へのモチベーションや効率化につながります。しかし、自身の仕事に対する評価に不満を感じれば、退職や転職を考えても無理はありません。
特に、同僚よりも成果をあげているにもかかわらず、正当な評価を得られなかったり、出世できなかったりとなると大きな不満を抱えることになります。また、管理職の好みや上層部の私情など、仕事以外の部分で評価を決められれば納得がいかないでしょう。
不当な評価にあわせて昇給に影響が出れば、これ以上続けても自分のためにならないと考えるのが当然です。
やりがいを感じない

激務や責任のある仕事を任されて、プレッシャーから逃げ出すために退職したいと考える人がいる一方、責任のある仕事を任せてもらえず不満を感じている人も少なくありません。
経験を積ませてもらえなかったり、簡単な仕事しか任せてもらえなかったりすると、やりがいを感じられず退職を考える要因につながります。
会社の将来性や方針に不安がある
会社の将来が見えず、不安を感じたとき、社員は転職を意識し始めます。業績の先行きが不透明であったり、経営方針が頻繁に変わったりすると、「この会社で働き続けて大丈夫なのか」という疑念が積み重なっていきます。
近年では、定年延長や年金支給開始年齢の引き上げといった社会的な変化もあり、社員は「長く安心して働ける会社かどうか」をより重視する傾向にあります。そのため、目先の給与や役職だけでなく、5年後、10年後の会社の姿を無意識に見極めようとしています。
かつては「一度入社した会社に最後まで勤め上げる」という価値観が一般的で、多少の理不尽さや不満があっても我慢する人は少なくありませんでした。
しかし現在では、経営理念や会社の方向性に違和感を覚えた時点で、転職や独立を選択肢として考える人が増えています。
特に優秀な人材ほど、経営視点で物事を見る力を自然と身に付けています。そのため「この会社に将来性があるかどうか」を冷静に判断し、見切りをつける決断も早い傾向があります。
業務量や残業が多い
業務量の偏りや慢性的な残業も、部下が辞めたいと感じる大きな要因です。特定の部署や一部の社員に仕事が集中し、周囲からのフォローが得られにくい体制では、心身の負担が蓄積していきます。
一方で、仕事を任されない状況が続くと、「自分は信頼されていないのではないか」と感じ、モチベーションが下がるケースもあります。業務量が多すぎても少なすぎても、不満や不安につながりやすい点は見逃せません。
また、仕事の拘束時間が長くなるほど、プライベートな時間は確実に削られます。生活のバランスが崩れると、「この働き方を続ける意味があるのか」と疑問をもち、離職を検討するリスクは高まります。
他社でキャリアを積みたいと考えている
優秀な人材ほど、社内だけでなく社外からも評価されやすい傾向があります。その結果、現在よりも役職や仕事内容、報酬などの条件が良い他社から声がかかることも珍しくありません。
また、自分が描く将来像と今の仕事が大きくかけ離れている場合や、現在の環境では必要なスキルや経験が身に付かないと感じた場合、別の企業でのキャリア形成を考えるようになります。
これは現職への不満というより、「成長したい」「可能性を広げたい」という前向きな理由であることも多いのが特徴です。
部下が転職を考える背景には、このようなキャリア意識の変化があることを理解しておく必要があります。
辞めそうな部下のサイン
部下がなにか我慢できない不満をもっているとはいえ、上司としてはなんとか説得して退職を未然に防ぎたいと考えるでしょう。しかし、そのためには辞めそうな部下が出すサインを正確にキャッチする必要があります。ここからは、辞めそうな部下が発しているサインを解説します。
自分の評判を気にしなくなる
退職を考えている部下は「どうせ正当な評価を受けられない」「もうすぐ転職するしどうでも良い」と考えるため、自分の評価を気にしなくなる傾向があります。
上司や同僚、取引先への対応も疎かになり、周囲への気遣いができなくなることも考えられます。また、社内での評価や昇進・昇給への興味も薄れ、会議やチームのミーティングでの発言が減ったり、消極的な態度が見られたりすることもあります。
このように自分の評価を気にしない素振りがあれば、辞めたいと考えているサインかもしれません。
愚痴や不満が増えた

会社や仕事に対する愚痴が増えてきた部下は、何らかの問題を抱えている可能性があります。
会話の中で会社への不満を口にする回数が増えたり、ため息をつく場面が目立つようになったりするのは、ストレスが蓄積し、会社に対する不信感が高まっているサインといえるでしょう。
こうした不満は、本人の中で解消されないまま放置されると、「ここに居続ける意味がない」という考えに変わっていきます。
表面的には仕事をこなしているように見えても、内心ではすでに転職を視野に入れているケースも少なくありません。
部下の愚痴や不満を軽視せず、背景にある原因に目を向けないままでいると、そのまま退職へとつながるおそれがあります。
休暇が増える
ちょっとした理由で休暇を申請するようになった部下は、近々会社を辞めたいと思っているかもしれません。特に、今まで有給休暇をあまり消化してこなかったり、自身のプロジェクトを進めようと休日出勤したりしていた熱心な部下なら、休暇取得は退職前のサインといえるでしょう。
「自分が休んで仕事に支障がでても関係ない」「今のうちに有給を消化しておきたい」と考えているのかもしれません。また、休暇を取って転職活動を進めている可能性もあります。
引き継ぎをしている
今まで一緒に仕事をしてきた同僚や後輩に、自分の仕事を引き継いでいるときは注意が必要です。退職する意思が固まり、自分がいなくなっても良いようにと考えているのかもしれません。
自身の受けもつ仕事量が多く、会社に迷惑をかけたくないと考える真面目で仕事ができるタイプの部下に見られる傾向です。「立つ鳥跡を濁さず」の精神で、退職届を出す前から計画的に引継ぎを進めている可能性があります。
このような真面目な人材を失うのは、会社としてとても大きな損失になるといえるでしょう。
会話や付き合いが減る
以前は積極的だった部下が、徐々に会話や社内での付き合いを避けるようになった場合も注意が必要です。
特に、退職を悟られたくない気持ちや、引き止めに合いたくない、いずれ辞める会社の人間関係に時間を使う必要はないなどの考えから、上司や同僚との会話を避ける傾向があります。
また、周囲から孤立していたり、同僚との何気ない雑談が減っていたりする場合は、人間関係が原因で辞めたいと思っている可能性があります。
仕事が終わるとすぐに帰宅し、雑談やコミュニケーションを極力避ける姿勢が見られるようであれば、心はすでに社外に向いているかもしれません。
会話の減少は、単なる性格の変化ではなく、退職を意識し始めたサインである場合も多いため、日頃から部下の変化に目を配ることが大切です。
辞めそうな部下への対応方法
部下の変化に気付いたら、放置せず早めになんらかの対処をとることが大切です。部下の言動の端々に違和感を覚える程度の段階なら、まだ退職するかどうか決断しきれていない状態かもしれません。
退職の意思が固まる前に対処して、自社に留まってもらえるように働きかけましょう。
面談で話を聴く
まずはヒアリングで、部下の気持ちを確認します。じっくり話し合える1on1面談や、カジュアルに話せるランチ面談の場を設けてはいかがでしょうか。
ヒアリングにおけるポイントは、寄り添って傾聴に徹することです。根掘り葉掘り質問したり、不要なアドバイスをしたりすると、部下は本音を言いにくくなります。
また、相手の意見や考えを否定することも避けるべきです。頭ごなしに否定されると職場に居場所がない、上司は自分を理解してくれないと感じ、かえって退職への気持ちを固めるきっかけとなりかねません。
じっくりと部下の話を聴き、これからの活躍に期待していることのみを伝えましょう。
休暇を提案する
部下があきらかに疲労している場合は、まず心身を回復させる必要があります。一度仕事を休ませることで、心身の疲労による退職を思い止まってくれる可能性が考えられます。
また、残業・過労が退職を検討する理由だった場合、部署やチーム単位で同じ状況になっているかもしれません。労働環境を見直して、同じく残業や過労を理由に退職する社員が出ないように改善しましょう。
労働環境が原因の退職を減らすためには、日頃からカウンセリングを行い、アンケートなどでメンタルヘルスのチェックをすることも大切です。
配属や業務内容を見直す
部下が配属や業務内容がマッチしていないと感じている場合、交渉次第で退職を防げることがあります。まずは部下がもつキャリアビジョンについて、ヒアリングしましょう。
本人のキャリア設計や能力をもとに、担当業務とのミスマッチが生じていると感じたときは、配置転換による改善が見込めます。
社内に部下のキャリアのロールモデルがいるときは、本人との面談の機会を提供して、ビジョンを描く手助けも効果的です。面談によって、「この会社でも自分が望む将来を得られる」とわかれば、退職を思いとどまってくれる可能性があります。
キャリア設計をサポートする
部下の希望や強み、これまでに培ってきたスキルを踏まえたキャリア設計の支援も、上司に求められる重要な役割です。目の前の業務だけでなく、「この先どのように成長していけるのか」を示すことで、働き続ける意味を見出しやすくなります。
面談の中で、部下が思い描いている将来のキャリアビジョンを確認し、その実現に近づくために社内でどのような経験が積めるのかを一緒に考えます。環境を整え、成長の道筋を具体的に示すことで、「この会社でもキャリアを築ける」という安心感が生まれます。
また、社内で活躍している社員に協力を仰ぎ、どの段階でどのような経験を積んできたのか、成功や失敗の体験を共有してもらうのも効果的です。
キャリアパスの可視化で、部下は将来像を具体的にイメージでき、前向きに仕事へ向き合えるようになります。
プロのサポートに頼ってみる
部下をはじめ社員の評価方法が偏っている場合、360度評価など新しい手法を取り入れることが大切です。従来とは異なる評価方法なら、部下の隠れていた特性に気付けるかもしれません。
また、うまく叱れない・信頼関係が思うように築けないなど部下との接し方に悩んでいる方は、プロのサポートを活用してみましょう。プロの心理学的なアプローチにより、部下との距離がぐっと縮められれば、退職予防につながります。
部下の辞めそうな雰囲気が変わらない場合は、東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)へご相談ください。社員のストレスチェックだけでなく、ストレスチェックコンサルタントが企業の状況に合わせたメンタルサポートをご提案します。
部下が辞めそうなサインを見逃さないためには

部下が退職を検討しているときは、前述のようなサインを出していることがほとんどです。退職を避けるためには、部下が出しているサインを把握して、素早く対処する必要があります。
ここからは、早期に兆候を発見し、部下をフォローするための方法を3つ紹介します。
日々の業務の様子を確認する
仕事の成果に落ち込みが見られたり、進捗が遅れがちになったりしている場合は、なんらかの問題を抱えている可能性が考えられます。日頃から一人ひとりの業務の様子を確認して、仕事に対する姿勢や周囲の社員に対する態度の変化も、見逃さないようにしましょう。
例えば、以下の変化が見られる部下は意識して様子を見守るべきです。
・会議時や業務中の発言が減ってきている
・周囲から孤立しはじめている
発言の回数が減ったり、周囲とのコミュニケーションに消極的になったりしている部下は、会社やチームへの帰属意識が薄れている(退職を検討している)かもしれません。明らかな変化が見られたときは、早めにヒアリングするなど対処が必要です。
定期的にアンケートを実施する

社内での定期的なアンケートは、目に見えない満足度や不満の把握に効果的です。アンケートは「何か悩みはありますか?」など漠然とした問いかけではなく、業務内容・評価体制・社内の人間関係など、複数の区分で細かい質問を設けることが大切です。
さまざまな区分で悩みや不満、満足している部分を調査すると、退職のリスクにつながっている社内の課題を可視化しやすくなります。
社員と密にコミュニケーションを取る
社員とのコミュニケーションを、従来よりも深める工夫をしましょう。密なコミュニケーションは、社員それぞれがもつ価値観をこまかく把握できるメリットがあります。
会社に対する不満は、個人の価値観にもとづいて生まれる場合も珍しくありません。部下の人となりを知ってどのような点に不満をもっているのか把握できれば、ピンポイントで課題の解決を図れます。
不満の芽をあらかじめ摘み取り、辞めたい気持ちを生み出さない効果も期待できます。自分を理解しようと積極的にコミュニケーションをとってくれる上司なら、部下も心を開きやすくなるため、日頃からの取り組みが大切です。
また、コミュニケーションをとるときは、相手のどのような悩み・価値観も受け入れて聞き入れる姿勢を意識しましょう。
まとめ
部下が辞めそうになる背景には、人間関係や評価への不満、将来性への不安、業務負荷などさまざまな要因があります。重要なのは、日常の変化からサインを見逃さず、早い段階で対話や環境改善に取り組むことです。部下の声に耳を傾け、キャリアや働き方を一緒に考えることが大切です。
上手く立ち回れない場合は、プロのサポートに頼るのも良いでしょう。ぜひ東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)へご相談ください。さまざまな方向からアプローチできるよう、解決策を提案いたします。





