目次
そもそもなぜ部下は仕事を辞めたいと思うのか
部下が退職を意識している際のサインに気付けず、急に退職届を突きつけられた経験はありませんか。そもそもなぜ、部下は仕事を辞めたいと考えるのでしょうか。原因を知ることができなければ、適切な対応を取れません。そこでここからは、部下が抱える悩みや退職を考える要因を解説します。
人間関係がうまくいかない
部下が退職を考える要因に、人間関係の問題があります。上司とそりが合わなかったり、職場の居心地が悪かったりすれば「ここは自分の居場所ではない」と感じることが多いようです。
人間関係がうまくいかないことに悩むのは、特に男性よりも女性が多い傾向があります。仕事でのミスを注意されたことや、上司から言われた心無い一言など、ちょっとしたトラブルが尾を引いて仕事を辞めたいと考える傾向があるようです。
正当に評価されていないと感じる
仕事に対する正当な評価は、仕事へのモチベーションや効率化につながります。しかし、自身の仕事に対する評価に不満を感じれば、退職や転職を考えても無理はありません。
特に、同僚よりも成果をあげているにもかかわらず、正当な評価を得られなかったり、出世できなかったりとなると大きな不満を抱えることになります。また、管理職の好みや上層部の私情など、仕事以外の部分で評価を決められれば納得がいかないでしょう。
不当な評価に合わせ昇給に影響がでれば、これ以上続けても自分のためにならないと考えるのが当然です。
やりがいを感じない
激務や責任のある仕事を任されて、プレッシャーから逃げ出すために退職したいと考える人がいる一方、責任のある仕事を任せてもらえず不満を感じている人も少なくありません。
経験を積ませてもらえなかったり、簡単な仕事しか任せてもらえなかったりすると、やりがいを感じられず退職を考える要因につながります。
辞めそうな部下のサイン
部下がなにか我慢できない不満を持っているとはいえ、上司としてはなんとか説得して退職を未然に防ぎたいと考えるでしょう。しかし、そのためには辞めそうな部下が出すサインを正確にキャッチする必要があります。ここからは、辞めそうな部下が発しているサインを解説します。
自分の評判を気にしなくなる
退職を考えている部下は「どうせ正当な評価を受けられない」「もうすぐ転職するしどうでも良い」と考えるため、自分の評価を気にしなくなる傾向があります。
上司や同僚、取引先への対応も疎かになり、周囲への気遣いができなくなることも考えられます。また、社内での評価や昇進・昇給への興味も薄れ、会議やチームのミーティングでの発言が減ったり、消極的な態度が見られたりすることもあります。
このように自分の評価を気にしない素振りがあれば、辞めたいと考えているサインかもしれません。
休暇が増える
ちょっとした理由で休暇を申請するようになった部下は、近々会社を辞めたいと思っているかもしれません。特に、今まで有給休暇をあまり消化してこなかったり、自身のプロジェクトを進めようと休日出勤したりしていた熱心な部下なら、休暇取得は退職前のサインといえるでしょう。
「自分が休んで仕事に支障がでても関係ない」「今のうちに有給を消化しておきたい」と考えているのかもしれません。また、休暇を取って転職活動を進めている可能性もあります。
引き継ぎをしている
今まで一緒に仕事をしてきた同僚や後輩に、自分の仕事を引き継いでいるときは注意が必要です。退職する意思が固まり、自分がいなくなっても良いようにと考えているのかもしれません。
自身の受け持つ仕事量が多く、会社に迷惑をかけたくないと考える真面目で仕事ができるタイプの部下に見られる傾向です。「立つ鳥跡を濁さず」の精神で、退職届を出す前から計画的に引継ぎを進めている可能性があります。
このような真面目な人材を失うのは、会社としてとても大きな損失になるといえるでしょう。
会話が減る
部下が周りと会話しなくなるのも、退職を考えているときの兆候のひとつです。特に、退職を悟られたくない気持ちや、引き止めに合いたくないという考えから、上司との会話を避ける傾向があります。
また、周囲から孤立していたり、同僚との何気ない雑談が減っていたりする場合は、人間関係が原因で辞めたいと思っている可能性があります。
どちらにしろ、会話が減ることは退職を考えているサインといえるでしょう。部下のなにげない素振りを意識して観察しなければ、なかなか気付けないものです。
辞めそうな部下への対応方法
部下の変化に気付いたら、放置せず早めになんらかの対処をとることが大切です。部下の言動の端々に違和感を覚える程度の段階なら、まだ退職するかどうか決断しきれていない状態かもしれません。
退職の意思が固まる前に対処して、自社に留まってもらえるように働きかけましょう。
面談で話を聴く
まずはヒアリングで、部下の気持ちを確認します。じっくり話し合える1on1面談や、カジュアルに話せるランチ面談の場を設けてはいかがでしょうか。
ヒアリングにおけるポイントは、寄り添って傾聴に徹することです。根掘り葉掘り質問したり、不要なアドバイスをしたりすると、部下は本音を言いにくくなります。
また、相手の意見や考えを否定することも避けるべきです。頭ごなしに否定されると職場に居場所がない、上司は自分を理解してくれないと感じ、かえって退職への気持ちを固めるきっかけとなりかねません。
じっくりと部下の話を聴き、これからの活躍に期待していることのみを伝えましょう。
休暇を提案する
部下があきらかに疲労している場合は、まず心身を回復させる必要があります。一度仕事を休ませることで、心身の疲労による退職を思い止まってくれる可能性が考えられます。
また、残業・過労が退職を検討する理由だった場合、部署やチーム単位で同じ状況になっているかもしれません。労働環境を見直して、同じく残業や過労を理由に退職する社員が出ないように改善しましょう。
労働環境が原因の退職を減らすためには、日頃からカウンセリングを行い、アンケートなどでメンタルヘルスのチェックをすることも大切です。
配属や業務内容を見直す
部下が配属や業務内容がマッチしていないと感じている場合、交渉次第で退職を防げることがあります。まずは部下がもつキャリアビジョンについて、ヒアリングしましょう。
本人のキャリア設計や能力をもとに、担当業務とのミスマッチが生じていると感じたときは、配置転換による改善が見込めます。
社内に部下のキャリアのロールモデルがいるときは、本人との面談の機会を提供して、ビジョンを描く手助けをすることも効果的です。面談によって、「この会社でも自分が望む将来を得られる」とわかれば、退職を思いとどまってくれる可能性があります。
プロのサポートに頼ってみる
部下をはじめ社員の評価方法が偏っている場合、360度評価など新しい手法を取り入れることが大切です。従来とは異なる評価方法なら、部下の隠れていた特性に気付けるかもしれません。
また、うまく叱れない・信頼関係が思うように築けないなど部下との接し方に悩んでいる方は、プロのサポートを活用してみましょう。プロの心理学的なアプローチにより、部下との距離がぐっと縮められれば、退職予防につながります。
部下の辞めそうな雰囲気が変わらない場合は、東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)へご相談ください。社員のストレスチェックだけでなく、ストレスチェックコンサルタントが企業の状況に合わせたメンタルサポートをご提案します。
部下が辞めそうなサインを見逃さないためには
部下が退職を検討しているときは、前述のようなサインを出していることがほとんどです。退職を避けるためには、部下が出しているサインを把握して、素早く対処する必要があります。
ここからは、早期に兆候を発見し、部下をフォローするための方法を3つ紹介します。
日々の業務の様子を確認する
仕事の成果に落ち込みが見られたり、進捗が遅れがちになったりしている場合は、なんらかの問題を抱えている可能性が考えられます。日頃から一人ひとりの業務の様子を確認して、仕事に対する姿勢や周囲の社員に対する態度の変化も、見逃さないようにしましょう。
例えば、下記の変化が見られる部下は意識して様子を見守るべきです。
・会議時や業務中の発言が減ってきている
・周囲から孤立しはじめている
発言の回数が減ったり、周囲とのコミュニケーションに消極的になったりしている部下は、会社やチームへの帰属意識が薄れている(退職を検討している)かもしれません。明らかな変化が見られたときは、早めにヒアリングするなど対処が必要です。
定期的にアンケートを実施する
社内での定期的なアンケートは、目に見えない満足度や不満の把握に効果的です。アンケートは「何か悩みはありますか?」など漠然とした問いかけではなく、業務内容・評価体制・社内の人間関係など、複数の区分で細かい質問を設けることが大切です。
さまざまな区分で悩みや不満、満足している部分を調査すると、退職のリスクにつながっている社内の課題を可視化しやすくなります。
社員と密にコミュニケーションを取る
社員とのコミュニケーションを、従来よりも深める工夫をしましょう。密なコミュニケーションは、社員それぞれがもつ価値観をこまかく把握できるメリットがあります。
会社に対する不満は、個人の価値観にもとづいて生まれる場合も珍しくありません。部下の人となりを知ってどのような点に不満をもっているのか把握できれば、ピンポイントで課題の解決を図れます。
不満の芽をあらかじめ摘み取り、辞めたい気持ちを生み出さない効果も期待できます。自分を理解しようと積極的にコミュニケーションをとってくれる上司なら、部下も心を開きやすくなるため、日頃からの取り組みが大切です。
また、コミュニケーションをとるときは、相手のどのような悩み・価値観も受け入れて聞き入れる姿勢を意識しましょう。
まとめ
今回は、辞めそうな雰囲気を感じる部下のサインや対応を解説しました。突然部下に辞表を提出されて「どうして相談してくれなかったんだ」と嘆いたことがある方もいるのではないでしょうか。
しかし、悩んでいることや抱えている問題を、部下自身から相談されるのを待つだけでは手遅れになってしまいます。普段からコミュニケーションを多く取り、なんでも話せる環境を作っておくことが大切です。また、辞めたいと感じている部下はなんらかのサインを出している可能性があります。いち早くそのサインに気付き対応できるよう、上司には部下をよく観察する姿勢も求められます。
優秀な人材であれば、退職や転職を考え直してくれるに越したことはありません。とはいえ、上司や同僚には相談しにくい悩みを抱えていることもあるでしょう。そのような場合は、ぜひ東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)への相談をご検討ください。さまざまな方向からアプローチできるよう、解決策を提案いたします。