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部下の仕事量を把握していないデメリットは
上司が部下の仕事量を把握していないと、部下や部署にさまざまな影響が出てきます。部下が不満に思うばかりでなく、業務全体の質や効率の低下にもつながりかねません。
まずは仕事量の把握ができていないことによって起こるデメリットについて、しっかり確認しておきましょう。
仕事の割り振りが不公平になってしまう
部下の仕事量は、上司がどのように割り振るかによって大きく左右されます。
なんでも快く引き受けてくれるような部下がいると、頼みやすいからという理由でついつい仕事を頼んでしまうということはありませんか。
部下にとってみれば、上司の頼み事は断りにくいものです。嫌とはなかなか言いにくいため、頼まれれば引き受けざるを得なくなってしまいます。
また、優秀な部下に仕事を集中させてしまうというのも、起こりがちなことです。
この人ならすぐに仕上げられるだろう、そんなに時間がかからないだろうと思って仕事を割り振っていると、いつの間にか仕事量が増えてしまいます。
仕事を多く割り振られれば当然、部下の負担は増していきます。「ほかの社員と比べて自分ばかりになぜ仕事が集中しているのだろう」と不公平に思ってしまうでしょう。
上司がこのように仕事量を把握していないと、職場や上司への不満につながって、退職につながる可能性も否定できません。
オーバーワークになっている可能性
上司が部下の仕事量を正確に把握できていないと、部下に余裕がないにも関わらず新たな仕事を次々に割り振ってしまうということも起こりかねません。
仕事の進捗と新たな仕事が割り振られるペースが合っていれば、特に問題にはならないでしょう。
しかし、部下が現在抱えている仕事を進められていないのに新たに仕事を割り振ると、業務量が増えてオーバーワークになってしまいます。
オーバーワークになると仕事の品質が悪くなってしまったり、負担の増大によってモチベーションが低下したりする可能性があります。
部下が抱えている仕事量と業務全体の見通しを上司が把握していれば、オーバーワークになる前に気がつくことができるでしょう。
問題が起きたときのリスク
部下の仕事量を把握できていないということは、仕事の進捗やどの仕事を誰が行っているのかなどについてもきちんと把握できていないということになります。
このような状態では、万が一仕事上の問題が起きたときに、状況や原因、経過などを正確に把握することはできないでしょう。
仕事量が把握できていないから部下がオーバーワークになり、オーバーワークのためにミスが起こりやすくなり、さらに状況を把握できないために問題が大きくなる、といった悪循環も生まれてしまうかもしれません。
問題の発生をゼロにすることはできませんが、起きたときに早期に把握し対処することが肝心です。
そのためには、まずは上司が適切に部下の仕事量を把握することが重要なのです。
部下の仕事への意欲の低下と離職リスク
管理職が部下の仕事量を把握していないと、タスクの割り振りに偏りが生じ、特定の社員に過度な負担がかかってしまいます。過剰な業務量を抱えた部下は、次第に疲弊し、仕事へのモチベーションが低下していきます。
さらに深刻なのは、「自分の状況を上司が理解してくれていない」という不信感が生まれることです。この状態が続くと、部下は組織への不満を募らせ、最終的には離職を選択するリスクが高まります。
一方で、業務量が少なすぎる部下は「評価されていない」「期待されていない」と感じ、成長機会を失うことで、これもまたモチベーション低下につながります。適切な仕事量の把握と配分は、組織の生産性維持だけでなく、貴重な人材の流出を防ぐためにも不可欠なのです。
部下の仕事量を把握するためには
部下にただ仕事を割り振るだけでは、仕事量を把握することはできません。
では、適切な形で仕事量を把握して業務の効率を上げるためにはどうしたら良いのでしょうか。
ここからは、部下の仕事量を把握する方法について詳しく解説していきましょう。
ツールを使う
部下の仕事量を把握するとき、具体的にチェックしたい項目は仕事のスケジュールや抱えているタスク、その日の成果を記した日報などです。
まずは、これらが整理できるようなツールを導入すると良いでしょう。
ツールは新たに購入などしなくても、普段使っている表計算ソフトやメーラー、カレンダーアプリなどで十分です。
ツールの見た目や操作が複雑になるとかえって把握しにくくなるので、シンプルで使いやすいものが良いでしょう。
部下の仕事内容や量、成果はは上司だけが見るのではなく、必要に応じて部署内で共有することも大切です。
お互いに仕事の状況を把握することができ、業務の効率化や生産性の向上が期待できます。
タスクを見える化する
部下の業務量を把握するには、まずタスクを可視化することが重要です。タスク管理ツールを使い、担当業務・進捗・期限をリアルタイムで共有できる環境を整えましょう。
見える化により、誰が何をどこまで進めているかが一目で分かり、業務の偏りや手が空いているメンバーの把握が容易になります。
チーム全体で状況を共有できるため協力体制が生まれ、生産性向上にもつながります。可視化ツールは効率的なマネジメントの基盤となります。
タスクの優先順位を決める

すべての業務を同列に扱わず、緊急度と重要度で分類して優先順位をつけます。顧客対応は緊急度が高い、改善プロジェクトは重要度が高いが緊急性は低い、などの整理が必要です。
優先順位が明確になると、部下は限られた時間で最も価値のある業務に集中できます。管理者もリソース配分を判断しやすくなり、生産性向上につながります。共有することで部下の納得感や主体性も高まります。
余裕のあるスケジュール設定を行う
部下に仕事を任せる際は、現実的で余裕のあるスケジュールを設定しましょう。タイトすぎる計画は予期せぬトラブルに対応できず、部下を追い詰めます。
タスクに必要な時間の1.2~1.5倍のバッファを設けることで、焦らず質の高い仕事ができ、突発対応にも余裕が生まれます。
結果として納期遅れや品質低下が防げ、精神的負担も軽減されます。余裕のある計画は組織の信頼性と部下の成長を支える重要な要素です。
頻繁に会議を行う
ツールを導入すれば仕事量や進捗などはある程度把握することができますが、部下が抱えている困りごとや悩みごとなどはなかなか知ることができません。
ツール上で把握できないことを知るためには、小さな会議を頻繁に行うことが有効です。
業務上必要な決定などを行う会議とは別に、少人数あるいは個別に部下と話し合う機会を設け、直接部下から現状を話してもらいましょう。
実際に話してみると、何とか仕事を進めているけれど負担感が大きいとか、仕事に対してどう感じているかなど、普段聞くことができない部下の思いについて聞くことができます。
会話の内容だけでなく、表情や声のトーン、態度などで部下の状態を察することが可能です。
会議での部下の様子が、仕事の割り振りを見直すきっかけにもなります。
オフィスをオープンにする
社員同士の交流がしやすいよう、オフィスをオープンな空間に変更するのも良い方法です。
上司と部下のコミュニケーションがとりやすくなり、態度や表情も見えやすくなるので、部下の状況や考え、疲労度などを知ることができるようになります。
オフィスをオープンに、といっても具体的に想像がつかない方がいるかもしれません。
たとえば、一息つけるようなコーヒースペースを設けたり、休憩室などにちょっとしたお茶菓子などを置いたりしてみてはいかがでしょうか。
仕事モードから少しオフの状態になり、社員の素の表情が見えやすくなります。
オフィスの間仕切りなどを少なくして、社員同士のコミュニケーションがとりやすい空間にするという方法もあります。
職場の様子に合わせて、取り入れやすい方法でオープンな空間づくりを進めてみると良いでしょう。
サポートを受ける
部下の仕事量の把握を含め、組織を最適化するためには外部のサポートを受けるというのもひとつの選択肢です。
専門知識を持ったプロの手を借りることで、生産性の向上や部下の能力アップなどを期待することができます。
東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)では、ビジネスシーンで役に立つメンタルサポートを行っています。
心理学のメソッドを活用したプログラムによって、社員が思考のプロセスに気づき、自分に自信が持てるようになります。
自信が持てるようになれば、仕事へのモチベーションも上がってやる気も湧いてくるでしょう。
環境変化への適応力はもちろん、成長して立場が変わったときに必要な判断力も身につくなど、長いキャリアで役に立つスキルも身につきます。
業務の効率化だけでなく、社員や企業の成長を目指したい方はぜひ一度お問い合わせください。
上手く部下に仕事を任せるには

部下の業務量を把握した上で、効果的に業務を委譲する方法を解説します。
責任と自由のバランスを考える
仕事を任せる際は、部下の責任範囲と裁量を明確にすることが重要です。責任だけを与えて裁量がなければ判断できず、業務効率が低下します。
反対に、裁量だけを与えて責任が曖昧なままだと、問題が発生した際に混乱を招きます。
業務内容やスキルに応じて、責任と自由のバランスを適切に調整しましょう。権限を明確にすることで、部下は自律的に行動でき、管理職も本来の業務に専念できます。
報連相と適度なフォローを行う
部下に仕事を任せた後も、報告・連絡・相談を徹底し、定期的な進捗確認の場を設けましょう。定期的なミーティングや進捗確認の場を設けることで、業務の現状把握ができ、問題の早期発見につながります。
ただし干渉しすぎると自主性を奪い、マイクロマネジメントと受け取られます。必要なときに相談できる距離感を保ちつつ、孤立させない適度なフォローが効果的です。
部下の成長度を意識する
部下のスキルや習熟度に合わせて、適切な難易度の仕事を任せることが大切です。業務が簡単すぎると成長の機会を失い、反対に難しすぎると挫折や失敗につながります。
部下が少し背伸びすれば達成できる業務を任せ、成果に対して評価とフィードバックを行うことで、成功体験が積み重なり、挑戦意欲も高まります。
こうした適切な課題設定と継続的なサポートは、部下のキャリア形成を促すとともに、組織全体の成長にもつながります。
まとめ
部下の仕事量を把握していないと、業務の偏りやオーバーワーク、問題発見の遅れなど多くのリスクを招き、離職につながる恐れもあります。タスクの見える化、優先順位付け、余裕のあるスケジュール設定、定期的な対話などを通じて状況を把握し、適切に業務を配分することが重要です。さらに、責任と裁量のバランス調整や成長度に応じた業務委譲により、部下の意欲と組織全体のパフォーマンス向上を実現できます。






