【人材育成のポイント】代表的な4つの方法を紹介

企業の成長に欠かせない人材育成。人材は企業にとって資本や財産ともいえます。優秀な人材の確保も大切ですが、入社後どのように育成していくかが大切です。ここでは、人材育成の重要性をはじめ、人材育成の方法やポイントについても解説します。


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人材育成を行う目的とは


人材育成を行う前に、「なぜ人材育成が必要なのか」という目的をはっきりさせておかなければなりません。

現在、多くの企業で積極的な人材育成が行われていますが、どのような目的で行われているのでしょうか。人材育成を行う主な目的をふたつ紹介します。

生産性向上のため

日本では、少子高齢化の背景から、多くの業界で人手不足が深刻化しています。今後、少子高齢化問題は、ますます深刻となり2030年にはおよそ1千万人の働き手が不足するともいわれています。

人材育成によって社員の能力が向上すれば、生産性が上がり、少ない人数でも効率的に業務を回すことができます。

わかりやすくいえば、1万人の社員がいる会社で生産性が5%上がれば、500人分の人材不足を補えるのです。

今後、末永く企業の成長を継続させていくためには、人材を獲得したあとの育成は力を入れて行うべきといえるでしょう。

また、仮に人材不足ではない業界だったとしても、生産性をアップさせることは利益の最大化に貢献します。

従業員一人ひとりが、最大限の能力を発揮するためにも、きめ細やかな人材育成を行い、適切な配置を行うことが重要です。

自社の経営戦略に沿う人材を得るため

採用の段階では、どの企業でも優秀な人材を採用したいと選考を進めます。しかし、最初から能力の高い優秀な人材ばかりが集まることは少ないでしょう。

また、本当にその人自身の能力が高かったとしても、自社の経営戦略や抱えている課題の解決に沿った人だとは限りません。

企業によって、抱えている課題や経営戦略は異なります。そのため、自社の方針に基づいた人材育成が必要不可欠です。

早いうちから自社の方針に沿うように人材育成を実施しておけば、将来に必要な経営幹部の輩出も簡単になるでしょう。

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代表的な人材育成の方法は4つ

「人材育成」といっても、企業によってさまざまな方法が用いられています。有名な企業が取り入れて話題になった人材育成方法もありますが、それが自社に合っているとは限りません。

なんとなく有名だからという理由で手段を選ぶのではなく、人材育成方法の内容を理解して、自社に合ったものを選びましょう。

以下に、4つの人材育成方法をご紹介します。

1.OJT(企業内教育)

OJTは、実際に業務を行いながら人材を教育していく方法です。「On The Job Training」の頭文字を取ってOJTと呼ばれています。

実務を通じて育成するため、研修期間が終われば即戦力となる可能性があります。多くの企業が取り入れている手法です。

OJTの研修は、上司や先輩が主となって教育します。流れは「やってみせる」→「説明する」→「やらせてみる」→「確認し追加で指導する」という4段階で指導するのが基本です。

マンツーマンで教育することも多く、個人の理解度や能力に合わせて育成できるため、確実な成長につながります。

また、教育を行っていく中で先輩や上司との交流が活発になるため、社内の人間関係を育めるほか、信頼関係が築け、研修終了後の業務もスムーズに行えるでしょう。

2.eラーニング

eラーニングは、インターネットを利用した育成方法です。オンラインで受講できるため、時間や場所に左右されず受講できます。事業所が散在している場合や、対象となる人数が多い場合に、とても有効な方法です。もちろん、リモートワーク中でも受講できます。

eラーニングのサービスによっては学習の進捗状況や成績なども一元管理できるため、管理者側も従業員の育成計画や目標を立てやすくなるでしょう。

しかし、eラーニングを受講するためには、安定したネットワーク環境でなければなりません。また、直接人が指導してくれるわけではないので、モチベーションの維持は各従業員の自己管理に依存します。

学習意欲が高い従業員は吸収が早く成長していきますが、自分でモチベーションを管理することが苦手な従業員は、学習効果が発揮されない場合があります。

3.集合研修

集合研修とは、OFF-JTとも呼ばれる研修方法で、実務とは別でセミナーや研修を受講することを指します。

外部サービスを利用した場合は、指導者のスキルによる教育の質のバラつきがなく、新たな気づきが得られる可能性も高いです。

体系的に知識を学べるほか、複数の人材が一度に研修を受けられるので同僚との人間関係が深まります。

しかし、実務外で学ぶことになるため、実務で即戦力になる可能性は低く、研修の応用が必要です。また、研修のためだけにかかるコストや時間を割かなければならない点もデメリットといえるでしょう。

4.自己啓発

従業員が主体となり、会社の研修や教育プログラム以外から学ぶ自己啓発も、人材育成の有効な手段のひとつです。自己啓発とは、自ら望んで学ぶことで自分の能力を高め、成長を目指すことをいいます。

人材育成の視点では、外部セミナーを受講する、勉強会に参加する、ビジネス書籍を購入して知識を増やすといった活動が自己啓発に該当するでしょう。

自己啓発はあくまでも従業員の自主的な取り組みであり、企業にとっては人事育成のコストがかかりません。そのかわり従業員の負担が大きいため、なかにはセミナー費用の補助や学習時間の確保をサポートするなど、自己啓発の支援制度を設けている企業もあります。

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人材育成の流れを4ステップで紹介

それでは、一般的な人材育成の流れを紹介します。企業によって適した育成方法があるため、自社の目標にあわせてすすめてください。

人材育成は、すぐに良い成果が得られるものではありません。継続して取り組むことで、優秀な人材を育てましょう。

ステップ1.現時点での課題を明確にする

人材育成の第一歩は、現時点で会社が抱える課題を明確にすることです。なにを改善すべきなのかがわからないと、目標は達成できません。

まずは従業員それぞれの業務内容と重要度を、正確に把握することからはじめましょう。把握した内容をふまえたうえで、それぞれの生産性や効率性について検討してください。

従業員の労働時間や経費の割り振り、人員配置が適切であるかもしっかり確認が必要です。問題を最も実感しているのは従業員なので、現場の意見を丁寧にヒアリングして、できるだけ詳しく掘り下げると良いでしょう。

ステップ2.自社の成長に必要な人物像を決める

人材育成に着手するまえに、人材育成の目標を決める必要があります。自社の成長に必要な理想の人物像を、具体的にイメージしましょう。理想の人物像を定めることで、人材育成の方向性が明確になります。

理想の人物像をイメージするときは、自社が目指す目標をもう一度思い浮かべてみると良いでしょう。現状と比較すれば、目標とのギャップが見えてきます。このギャップを埋めるために必要なのが、理想の人物像です。

人材育成は企業の将来のために必要なことであり、経営者視点のビジョンが欠かせません。育成する人物像を決めるときは担当者任せにするのではなく、経営陣も一緒になってイメージを考えることが肝心です。

また、人材育成には計画性も大切です。「5年以内に10人の人材を生み出す」といった細かい目標設定をして、実現を目指しましょう。

ステップ3.人材育成の制度と仕組みを構築する

次に、目標達成をかなえる人材育成の制度と仕組みを構築する必要があります。人物像が明確に定まったら、スキルマップを作成しましょう。

スキルマップとは、業務で必要とされるスキルを洗い出し、従業員がもつスキルを時系列で一覧表にしたものです。スキルマップを作ることで、会社に不足している意識やこれから必要となるスキルを体系的に把握しやすくなります。

不足する部分を補うように計画を立てれば、人材育成のスピードが上がります。指導漏れも防げて、効率良く優秀な従業員を育てることができるでしょう。

スキルマップを作成するときは、ゴールをふまえて作ることが大切です。目標地点にいたるまでの期間を、実行できる形でマップに落とし込みましょう。予定どおりゴールできるように、人材育成の制度と仕組みを整えてください。

ステップ4.効果測定を行う

人材育成の制度と仕組みができあがったら、計画に基づいて人材育成をはじめます。実施にあたっては、効果測定を取り入れましょう。

ただ決められたカリキュラムをこなすだけでは、効率は上がりません。実行した施策がどのような結果につながったのか、効果測定を行うことが大切です。従業員のスキルが増えたか、利益につながったのかなど、最初に掲げた目標が達成されているかを検証して、次の改善に繋げてください。

効果の測定基準は、「定量評価」と「定性評価」の両方を使い分けるのが成功のポイントです。

「定量評価」とは、数値化できる基準で評価することで、売上や獲得件数、試験の結果などが該当します。一方、「定性評価」とは数値化できない部分を評価することで、目標を達成するまでの試行錯誤や仕事に対する情熱、学ぶときの積極性などが該当します。

定量的な基準は線引きしやすく、評価が簡単ですが、従業員の能力を伸ばす人材育成には数値化できない部分を評価することが欠かせません。指導を受ける従業員の勤務態度やモチベーションにも目を向けて、効果の検証をしましょう。

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人材育成は従業員のキャリアに合わせて行おう

人材育成は一律に行うのではなく、指導を受ける従業員のキャリアや経験にあわせて内容を変える必要があります。

新入社員と中堅社員では、与えられる仕事の内容が異なり、求められるスキルも変わってきます。キャリアごとの人材育成のポイントを理解して、施策に役立ててください。

新入社員の場合

新入社員の場合は社会人経験が少ないため、必要なビジネススキルや知識、社内ルール、社会人としての心構えなどを集中的に指導することが大切です。入社後からではなく、採用や内定段階から企業の人材育成がはじまると考えましょう。

新入社員のころに受ける人材教育は、その先の社会人生活すべての基盤になります。正しいことや間違っていることは的確に伝え、線引きをはっきり認識させましょう。

とはいえ、厳しいだけでは人は育ちません。育成担当者が丁寧にフォローすることも重要です。指導にあたっては感情的に叱るのではなく、なにがいけなかったのかを論理的に伝えましょう。

新入社員の自主性を育てることも必要です。すべてを教えてしまうより、自分で考えさせ、工夫をさせることで、仕事に対する喜びや責任感を養いましょう。

中堅社員の場合

入社してから3年以上を経過した中堅社員の場合は、会社の中核を担う一人前のビジネスパーソンを目指して育成する必要があります。すでに社会人としての基礎は備えているため、新入社員に対する指導方法とは異なる方法にしましょう。

中堅社員の人材育成では、社内のリーダーに必要とされるスキルを伸ばしていくことが大切です。部下をもたせ、自分で育成計画を立てて実施させることで、マネジメント能力や主体性を伸ばしてください。

リーダーシップを育むために、責任を大きくするのも有効です。新入社員のころのような指示を受ける立場ではなく、指示する立場に立つことで、組織全体の利益を考えて行動できるようになるでしょう。

とはいえ、すべての中堅社員がすぐにリーダーとして指導力を発揮できるわけではありません。最初は研修やセミナーを通じてノウハウを身に付けてから、ステップアップを促してください。

中途採用者の場合は、本人のキャリアや習得しているスキルを見極めて判断する必要があります。不足を補う課題を設定し、早めに戦力化できる指導をしましょう。

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人材育成で押さえておくべき4つのポイント

人材育成を行う際に、気を付けておきたいポイントや注意点がいくつかあります。これから紹介する4つのポイントを押さえて、人材育成を効果的なものにしましょう。

1.最初に人材育成の目的を整理する

まずは、なぜ人材育成を行うのか、目的を明確にしておかなければなりません。現在企業が抱えている問題点や、将来どのようになっていきたいかを整理し、目標を設定しましょう。

人材育成の目的を設定するときは、できれば経営層だけでなくさまざまな立場の従業員からも意見を聞いておくことがポイントです。

なぜなら、立場や役割、部署やチームによって人材に求めていることは異なるからです。

たとえば、経営層は人材育成によってリーダーシップ性の向上や変革意識の教育を行いたいと考えている一方、部署やチームでは今期の目標達成に向けた、営業力や提案力を強化したいと考えていることがあります。

さらに、教育を受ける対象となる従業員自身は、プレゼンテーションスキルや時間管理術など直接実務に関係することを学びたいと考えているかもしれません。

このように、各ポジションで異なる人材育成の課題をヒアリングし、目的を決定しなければ効果的な育成は難しいといえます。

2.現場と人事の両方の声を反映させる

人材育成の計画を立てるときには、実際に業務を行う現場と、採用活動や従業員の管理を行う人事、両方の見解を反映させられるようにしましょう。

現場の管理職を通じて現状を知ることで、実施する教育内容と実際の業務で求められる能力に、ズレが生じにくくなります。

教育内容は業務に必要な能力を向上させるものになっているか、しっかりヒアリングと検討を繰り返すことが大切です。

また、人事や経営者の声を参考にブラッシュアップすれば、将来的に必要となるスキルも盛り込めるでしょう。

3.自社ならではの人材育成を行う

人材育成の手法にはさまざまな種類があります。大手の人材育成の方法をトレンドだからと安易に取り入れても、必ずしも自社に浸透するとは限りません。自社に合った人材育成を行うことが、優秀な人材を育てる早道です。

人材育成は自社を支える従業員を育てることが目的ですが、経営戦略や抱える課題、必要とされる理想の人物像は企業によって異なります。手法ありきで考えるのではなく、他社にはない、自社ならではの人材の育成を目指しましょう。

人材育成は将来に向けてのノウハウの蓄積にもつながるため、ぜひ前向きに取り組んでください。

4.実践機会を設けて即戦力を養う

OFF-JTやeラーニングなど、実際の業務内で行う人材育成を選ぶのであれば、実践計画を立てさせ、実際に業務を実践させる機会を設けることが重要です。

研修などで得た知識は、行動することで身に付きやすくなります。定期的に結果を振り返る時間を設け、上司と共有しアドバイスを受けることで成長につながりやすくなるでしょう。

東京・ビジネス・ラボラトリーでは、企業向けセミナーを行っています。このセミナーでは、心理学のメソッドを用いたプログラムによって、自分でメンタルをコントロールする技術を身に付けることが可能です。

効果の高い人材育成を行いたいなら、ぜひ一度ご相談ください。

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まとめ

人材育成は、今後の企業の成長に必ず役立ちます。目的をしっかりもって、自社に合った人材育成方法を検討し、効果的に人材育成を行いましょう。