社員が管理職になりたくないと思う理由は?会社でできる対処法

優秀な部下に対して管理職になることを勧めたときに、「管理職にはなりたくない」と断られるケースがあります。昇格・昇給のチャンスであるにもかかわらず、なぜ部下は管理職になることを拒否するのでしょうか。 今回は、社員が管理職になりたくないと思う理由や、管理職になりたくない社員がいる場合の対処法などについて解説します。


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社員が管理職になりたくないと思う理由

社員にとって、自身の頑張りが評価されたとよろこびを感じるはずの管理職への推薦を断るのはなぜなのでしょうか。まずは、社員が管理職を拒否するときの、よくある理由を紹介します。

責任が重くなるから

社員が管理職になりたくないと思う理由として多いのが、「今よりも責任が重くなるから」というものです。

管理職になると自分の業績だけでなく、管理しているチームや部門の成績が評価に影響するようになります。ミスがあったり、進捗が遅れたりすれば、その責任も負わなくてはなりません。

そのため、仕事の割り振りや進捗管理、部下の育成・指導など、マネジメントも考慮しつつ自分の仕事を進める必要があります。こうした管理者としての業務や責任にプレッシャーを感じるため、管理職になることを拒否するのです。

仕事量が増えるから

「仕事量が増えるから」というのも、社員が管理職になりたくないと拒否するときのよくある理由です。

管理職になると、組織やチームの目標設定や人材管理、業務の進捗管理など、対応すべき業務の範囲が広がり仕事量が増加します。

こうした管理職の仕事には明確な終わりがありません。また、上司からの命令や部下のミスなど、自分の頑張りだけではどうにもならないことで仕事が増える場合もあります。

その結果、残業や休日出勤などが増え、プライベートの時間が減ることを懸念して、管理職になることを拒否するのです。

割に合わないと感じるから

上記のように、管理職になると仕事量が増加しがちですが、会社によっては管理職になると残業代が支給されなくなることがあります。

さらに、管理職は労働基準法上の労働時間・休憩などの規定からも外れるため、管理職になった結果、かえって年収が下がることがあるのです。

このような理由から、「管理職は割に合わない」「仕事量と給料が見合っていない」と感じ、管理職への昇進を拒否することがあります。

管理職に向いていないと思うから

自分のスキルや性格などが管理職に向いていないと考えていて、管理職になりたくないという人もいます。

管理職になるには、コミュニケーション能力やマネジメント能力、リーダーシップなど、さまざまなスキルが必要です。決断力や意志の強さを求められる場面もあります。

管理職になるよう勧められるということは、こうした能力がある、または素質があるとみなされているということです。

しかし、本人は「自分には能力がない」「性格的に向いていない」と思い込んでいて、管理職への誘いを拒否することがあります。

管理職になりたくない社員がいることによるデメリット

「管理職になりたくない」というのは、会社側はもとより、断った社員側にもデメリットがあります。それぞれにどのようなデメリットがあるのか、詳しくみていきましょう。

会社側のデメリット

管理職になりたくない社員がいることによって、会社側にもたらされる大きなデメリットが、通常よりも管理職候補の育成に時間がかかることです。

さまざまなスキルが求められる管理職になれる人材は、それほど多くありません。そんな数少ない候補者に管理職になることを拒否されると、管理職として登用できる人材がいなくなる可能性があります。

新たな候補者が見つかったとしても、育成に時間がかかるでしょう。かといって、管理職になりたくないという社員を説得するのも困難です。

管理職候補者の説得や育成に余計な時間を取られることによって、組織全体のパフォーマンスが下がるおそれもあります。

社員側のデメリット

管理職になりたくないと拒否した社員側のデメリットは、自身のキャリアが狭まってしまうことです。

役職のある社員のみを対象としたプロジェクトに参加できなかったり、人事異動の対象から外れたりする可能性があります。業務内容や立場が変わらないので、給料も頭打ちになるでしょう。

スキルや経験値に差が出ることから、管理職を経験した人と比べて市場価値が低くなるため、転職で不利になることもあります。

管理職になりたくない社員がいる場合の対処法

管理職になるには、リーダーシップやコミュニケーション能力、マネジメント能力など、さまざまなスキルや能力が必要なので、候補者になれる社員も限られます。

そんな貴重な管理職候補の社員に、管理職になることを断られると非常に困るでしょう。そこで、管理職になりたくない社員がいる場合の対処法を紹介します。

ロールモデルを設ける

管理職になりたくないと考える社員のなかには、管理職に対してネガティブなイメージを抱えている人が多くいます。

ロールモデルを設けて、社員が抱えるネガティブなイメージを変えられれば、管理職になることを拒否する社員が減少するでしょう。

若くして出世した社員、力強くチームを率いる社員、育児と両立しつつ管理職として活躍する社員など、さまざまなロールモデルを提示すると、より効果的です。

管理職の待遇や仕事内容をしっかり説明する

管理職の待遇や仕事内容について具体的に把握しないまま、「大変そう」というイメージだけで断っている社員もいます。

イメージと実情のギャップを埋めるために、給料や役職手当、詳しい仕事内容や求められるスキルなど、労働条件や仕事内容についての説明をしっかり行うことも大切です。

あわせて、管理職になると身につくスキルや、管理職になったあとのキャリアパスなど、管理職になることで得られるメリットも伝えていきましょう。

管理職になるための研修体制を作る

管理職になるための研修体制を整えると、「自分には管理職になる能力がない」と思っている社員の意識を変えられる可能性があります。

マネジメントスキルやコーチングスキルなどを磨くことで、管理職に興味がない社員が関心を持つきっかけにもなるでしょう。会社側がきちんと制度を整えることで、社員のモチベーションアップにもつながります。

といっても、管理職候補向けの研修制度を一から整えるのは大変です。研修制度を整えるには、管理職の役割やマネジメント、リーダーシップなどについて指導できる人材を育てたり、カリキュラムを作成したりしなくてはなりません。

これらを社内だけで対応するのは非常にハードルが高いため、外部のサポートを受けるのがおすすめです。

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まとめ

社員が管理職になりたくないと拒否するのは、責任の重さや仕事量の増加など、管理職に対するネガティブなイメージが原因であることが多いです。また、自分には管理職になる能力がないと思い込んでいるケースもあります。

管理職になれる人材は、それほど多くはありません。貴重な人材に管理職への昇進を拒否されないためにも、ロールモデルを設けたり、管理職の待遇や仕事内容を明確に伝えたりすることが大切です。

管理職への関心を持たせたり、自信をつけたりするために、管理職候補向けの研修の実施も検討してみましょう。社内だけで対応するのが難しい場合は、外部のサポートを受けるのもおすすめです。