人材開発とは?2つの目的と具体的な方法、実例を徹底解説

社員の生産性向上を目的とした取り組みのひとつに人材開発があげられます。言葉を耳にする機会はあるものの、概要が不明な方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、人材開発とは何か、概要や目的、人材育成との違いなどについて解説します。人事や経営者の方は、ぜひ参考になさってください。


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人材開発とは

人材開発の導入を検討している場合、まずは概要を知りましょう。この項目では、言葉の意味や人材育成の違いを解説します。

人材開発の概要

人材開発とは社員一人ひとりの特性を生かしたスキルを向上させて、チームや組織として成長を目指す取り組みのことです。基本的には、全社員で行われます。今ある課題の解決に向けて、研修や人事配置などを通して知識や技能を訓練します。

個々人の能力が向上すれば、組織の生産性も高まったり自己成長も実感出来たりするため、社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。

人材開発と人材育成の違い

人材開発と似た言葉で「人材育成」がありますが、両者は明確に違いがあります。人材育成とは、必要なスキルを従業員に新しく身に付ける取り組むことを指します。特に新入社員や昇進した社員が対象になることが多いです。

社員のスキル向上をサポートする点では類似点もありますが、人材育成は長期的な施策で対象者を区切るのに対し、人材開発は短期的な施策で社員全員を対象とします。

ほかに似た言葉として「組織開発」があります。組織開発については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考になさってください。

組織開発と人材開発との違いは?課題解決につながる5つの組織開発手法

人材開発の目的2選

ここでは人材開発の主な目的を解説します。目的に応じて人材開発の方法は異なりますので、目的を把握しておきましょう。

目的①:経営目標の達成

経営目標から逆算して、「社員が必要なスキル」を洗い出します。例えば、経営目標のひとつに「顧客の定着率」を掲げた場合、フロントの応対スキル向上やサービスや商材の品質向上が挙げられます。これらのスキルを一定水準まで引き上げるためにも研修やOJTなどの教育を考えます。

目的②:生産性の向上

生産性の向上も、人材開発の目的です。現在は少子高齢化が進み、働き手が不足しています。そのため、限られた人員で最大のパフォーマンスを発揮できる体制づくりが必要です。

人材開発によって組織に足りない力を補い、生産性を最大化できれば、少ない人数でも効率的に業務を行えます。

人材開発の種類5選

人材開発の方法にはいくつか種類があります。自身の組織に適切な方法を取り入れるため、人材開発の種類を知っておきましょう。この項目では、代表的な方法を5つ紹介します。

種類①:OJT

OJTは実際の現場での仕事を通して、社員を指導・育成する方法です。現場で働いている上司や先輩が指導を行うため、実践で使える知識やスキルが手に入ります。そのため、業界や業種を問わず多くの企業で導入されています。

OJTは何をいつまで習得するのかを定めておくと、効率的に育成を進められます。場合によっては一人の社員に複数の上司や先輩がつく方法もあるため、状況を見て検討しましょう。

種類②:OFF-JT

OFF-JTは職場外訓練とも呼ばれ、外部のセミナーなど仕事から一旦離れて受ける研修を指します。イメージとしては、研修室や会議室などに集まって行う座学のような研修です。

実践のスキルとは異なり、業務の目的や専門的知識、一般的な社会人としてのスキルを身に着けます。

ただ、OFF-JTで学んだことは、実践に活かさなければ意味がありません。研修で学んだことを実務に反映させるためには、どのような内容の研修を受けて何を学んだのか、社内向けに報告会を開くとよいでしょう。

種類③:自己啓発

自己啓発は、会社が用意した研修プログラムにとらわれず、自身で選んだ課題や目標に関する知識・能力を高める自主的な取り組みを指します。

自己啓発は、他の人材開発で学んだ内容をさらに深めたり、自身が抱えている問題を解決したりすること目指します。

ただ、自己啓発は社員の自主性に委ねられるため、途中で続かなくなったり挫折してしまったりするおそれがあります。社員の意志を尊重しつつ、自己啓発に関する情報を提供したり動機付けを行ったりすることが大切です。

種類④:コーチング

コーチングとは、対話を通して気づきを与え、社員がもっている能力や可能性を引き出すサポートをすることです。

コーチングは知識やスキルを与えるのではなく、あくまで本人自らが考え、自発的な行動を促すことが目的です。そのため、社員の主体性の向上が期待できます。

多数の社員を対象にすることは難しいですが、育てたい社員が決まっている場合は有効な手段です。

種類⑤:360度評価

360度評価は多面評価とも呼ばれ、社員同士がお互いを評価しあう方法です。360度評価によって、互いの考えや評価している部分を分かり合えます。

通常、評価は上司から部下に対して行うのが一般的であるため、部下からの評価を知ることによって新たな視点を得られます。そのため、経験を積んでいる中堅社員も成長のきっかけとなるでしょう。

ただし、部下から評価されることに慣れていない社員がいることも想定して、トラブルが起きないように配慮が必要です。

人材開発の実例3選

人材開発を行っている企業を3つ紹介します。実例を知って、自社に活かせる取り組みを見つけましょう。

実例①:博報堂

博報堂は大手の広告代理店で、2005年に人材育成の強化を目的として「HAKUHODO UNIV.(博報堂大学)」を設立しました。

これにより、従業員が自立的に最適のタイミングでキャリア開発ができる枠組みが作られました。博報堂大学には、下記3つのプログラムがあります。

・多段階キャリア育成制度
・世代別キャリア開発支援プログラム
・個別キャリア相談対応

それぞれ年代や状況に合わせて人材開発を行い、自立を促すきっかけとして社員に大きな影響を与えています。

実例②:キヤノンITソリューションズ株式会社

キヤノンITソリューションズ株式会社では、社内研修を重要な経営戦略として位置づけています。特に力を入れているのは、社内講師の育成です。

社内講師の育成により、社内向け研修の8割が社内で完結しています。これにより、社内事例や、実践で使える知識やスキルを交えた研修の実施が可能になりました。

スキル別教育や階層別教育などがあり、年代や役職ごとに学ぶ場があるのもポイントです。

実例③:ネットプロテクションズ

ネットプロテクションズは2018年に評価制度の見直しを行い、コンピテンシー評価を360度評価で行うようになりました。

高い生産性を生み出す社員の特徴をコンピテンシー(行動特性)として定め、上司や部下、同僚が評価対象の社員をそのコンピテンシーに当てはまっているかを評価します。

一人の社員をさまざまな面から見ることで従来見えてこなかった働きを把握でき、妥当性の高い評価を実現しています。

人材開発をするなら東京・ビジネス・ラボラトリーの企業研修が最適

人材開発をするなら、外部の企業研修導入もひとつの手です。外部の企業研修を導入すると、客観的な視点から人材開発の方法が学べます。

外部の企業研修なら東京・ビジネス・ラボラトリー(TBL)をご活用ください。TBLでは心理学のメソッドで人材開発を行い、社員の指導・育成などをサポートいたします。

新たな視点や最新のノウハウを得られるため、人材開発で悩んでいる企業の担当者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

人材開発は、組織としてまとまりをもたせるために必要です。人材開発にはいくつか種類がありますので、本記事で紹介した方法を参考に、適切に実施しましょう。

ただ、人材開発はコツが必要なため、外部の企業研修導入がおすすめです。TBLでは心理学のメソッドで人材開発の指導・育成をお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。